昨日 9月、巡業の公演予定表を掲載させて頂きました。

重ねて お近くの皆様、ぜひお越しくださいませ。



と、「お近く」と云っているのですが・・・・。

昔と違いまして、現在は交通機関も発達しまして 
速い時間でより遠くまで行ける事は 嬉しい事ですが、
かなりのデメリットもございます。



表現の仕方は、適していないかも知れませんが、
昔 東海道を歩いて 江戸から京までは 常人の足でおよそ13日。


忠臣蔵などでご存じの 江戸から赤穂までは 歩くとおよそ17日くらい。

そこを早駕籠では およそ5日くらいで走り通しております。


もちろん 同じ人が担いで 走る訳ではなく 驛と呼ばれる宿場町には 
先ぶれに対して 次の駕籠を担ぐ人足たちが驛で待機しております。


先ぶれ(こう云う名称ではないかも知れませんが・・・)と云うのは 
飛脚ではなく 早駕籠より先に一人が走り 後から大事な早駕籠が来るから
それに対して準備をしておくようにと 伝えることです。



こうして江戸の凶変が赤穂に届く訳ですが、駕籠の担ぎ手は交替しても 
赤穂藩士はその駕籠に 乗りっぱなしと云う事になります。

新幹線の座席に座っていても 2時間半から3時間は疲れるものを
5日間も駕籠にゆられていては 赤穂に着いた時には 
体にどんな変調をきたしていたでしょうか?

想像を絶します。


いわゆる「飛脚」の届ける 「手紙=文」と云う訳にはいかない事も
時にはあったのです。




今では電話でもメールでも 連絡と云う点では 事足りてしまいます。


もし 人が移動して伝えるとしても 新幹線で東京から相生経由 
播州赤穂まで約4時間。

飛行機 車を乗り継いでもやはり同じくらいで到着するでしょう。


でも 人間が17日間かかっていたものを 4時間で到着すると云うのは、
タイムマシンではありませんが 時間と空間を超越している訳です。(笑)



新幹線や 飛行機は 便利なのですが 「移動」と云うもの自体に
どこか 疲労感が 付きまとうのは 仕方ないでしょうか。



江戸時代から見ると あっという間の時間でしょうが、
現代の皆様も 移動にだって 恐らくかなりの体の負担が
かかっているんだと思います。



先々月、先月のおもだかや襲名披露公演をご覧になる為に 遠方から来られたお方は 
おそらく、たくさんおられ 本当に大変な体のご負担を強いられてしまった訳です。


私の存じ上げる方で 九州の長崎県平戸の離島から東京、新橋演舞場まで 
片道2日以上にわたる高速バスを 夜に昼に乗り継いで ご観劇に来られた
80歳になられる 本当に昔からのお客様がおられました。


昼夜の演目をご覧下さり その夜 また夜行バスから 乗り継いで平戸まで 
お帰りになられました。


ただただ 頭の下がる思いで 一杯です。 


その他にも様々な遠方より お越しいただいたお客様、
ここに改めて御礼申し上げます。

本当に ありがとうございました。



先にも申し上げました通り 体のご負担は 計り知れないものがあったと
拝察申し上げます。





来月の私たちの巡業。 

一ヶ月を ほぼ毎日 移動し、公演し、
そして 一日ずつ 違う地での夜を過ごします。



交通の便が便利になってからは 短時間で行けるものの
この移動距離、 本当に長くなって参りました。

短時間で「行く事が出来る」と云うよりは「行けてしまう」のです。



以前は 「次の電車がないから公演地で宿泊です。」とか、
そう云った事が ありました。

移動距離としても 今の半分くらいでしたでしょうかね(笑)



今では俳優さんや裏方さん 色んな方の東京と大阪の舞台の
昼と夜とでひと月 かけもちですとか、
博多座公演が終わってから その日に東京で次の公演のお稽古だとか、
交通が便利になるのも よしあしです。(笑)




昨日の表を見て頂いても お分かりになるかと思いますが、

千穐楽は熊本県の八千代座です。

どんな形で 熊本まで往復するのか? 

まだ 行動表は出ておりませんが、
ま その分今月 英気を養っておりますので 体に気をつけて 
無事に千穐楽を迎えたいと思います。(笑) 


私たちは こう云う一ヶ月を過ごしますが 
それでも やはり 何よりもうれしいのは 沢山の皆様のご声援。


交通の便も良くなりましたので
(このブログの内容の後には ちょっと 心苦しいですが・・・)  

是非 お近く、そして ちょっと離れた所でも(笑)
「東京に行くより近い!」
と思って 足をお運びくださいね。



巡業の 珍道中、結構色々ございますが・・・

これは また 次の機会に・・・・