歌舞伎の舞台で使う小道具には 色々なものがございます。


刀や槍 鉄砲 煙管 煙草入れ 
その他 お酒の銚子や杯 茶わん お椀 等

いちいちあげれば 切りがないほど!!


今の時代に手に入るもの 手に入らないものも お芝居の中には 各種登場致します。


それ専門で作る方もいらっしゃり 小道具とはいえ 
○○十万 ○○百万などと云う 高価なものもございます。


今回 『ヤマトタケル』において 1幕5場 熊襲館の場では 
屋台崩しと云う手法が使われ
せっかく新築した新宮が 見るも無残に壊されて行きます。


これは壊されることを 初めから想定してありますので 

壺でも 館の羽目板でも 壊される箇所に 切りこみやひびが入っており 
そこをくっつけて 元の形に並べてありますから 
逆に云うと 何度でも壊せます。(笑)


そして たるや 天井吊りの大きな蜀台は 危なくないように 
柔らかい材質で 質感だけを 出しております。


お芝居とは云え本物らしく見せますが、
そこは役者さんたちにあたって 怪我をしても大変ですし
破片も逆に飛ばないように してございます。


壊れるのですが 壊れても また再利用できるのが 「熊襲館」


その熊襲館は やはり少し珍しい形です。 
崩れる壁は 大道具、切られる柱や落ちる鴨居は 特殊効果、
樽や壺も 特殊効果。



ところが昼の部の『小栗栖長兵衛』では 「消え物」と申しまして 
壊すのを目的とした小道具がございます。


私 立て場茶屋の 徳利やお皿 これは素焼きで出来たものでして、 
長兵衛と 村人の 争いの時に毎日 壊しますので 

そのつど新しいのを 小道具さんが用意してくれます。


もっとも 食材を載せたり お酒を入れたりする訳ではございません
舞台上では 「壊されるため」に そこに存在している道具なのです。



本来の使い方ではなく 壊すのが目的ですから お皿などに心があったら 
寂しい使われ方でしょうね(笑)


でも 毎日 舞台で立ち回りの中で 壊していくのは 
やはりお客さまにとっても 迫力があると思います。


・・・と云う事は 例え一瞬でも 観客の皆様の注目を集めますので、
それはそれで 幸せな使われ方でしょうか??



昼夜 どちらも ばらばらになってしまう 熊襲館 と 我が茶店。

壊れないように、怪我しないように作られたものと
壊れるために 作られたもの。


それぞれ 担当しております裏方さんが 微妙に違っておりますのは
また面白いですね。


今日の写真は その消え物の 徳利と お皿 


イメージ 1




イメージ 2


毎日 この本数と 枚数が用意されます。

また 山台の上の 桃やウリも 毎日 転がされております。(笑)
そして毎日幕開きには 綺麗に並べられております。

幕が開いた時には 一応 まずご注目下さい。(笑)


ちなみに 山崎の戦いは 旧暦ではございますが 6月13日。

ちょうど あの舞台上では まさに 6月14日。


今日見られましたお客様は 今日の芝居(旧暦ですが・・・)を今日見られた。
そう云う事になるのです(笑)