『ヤマトタケル』のお稽古もいよいよ佳境に入り だいぶ出来上がって参りました。


思えば26年前の初演から再演 再再演を重ね 主役のヤマトタケルも
猿之助旦那のほか 右近さん 段治郎さん(現月乃助さん)も勤められ
今回は襲名狂言として 四代目 猿之助(亀治郎)さんが勤められます。



私たちが 参加した初演当時 誰が想像したでしょうか?

本当に『ヤマトタケル』が古典として 残されて行く兆しだと思います。


当時 猿之助旦那は 

「歌舞伎は古典であって 古典ではない!!」

「その都度、変化して行くものであって 守って行くもでのはない」

と 常におっしゃっておられました。

猿之助旦那の格言曰く 歌舞伎は時代と共に

「変わるもの 変わらないもの 変えてはいけないもの 変えなくてはいけないもの」

その四大要素をいつも おっしゃっておられました。

時代と共に歌舞伎も 今の時代にあうように 変わって参ります。



かっては江戸時代から 現代に至るまでの四百年の時を経て 
現在の歌舞伎はあるのです。

伝統は伝統ではあるのですが、常に新しく進化させてきたのが 
歌舞伎だったのです。


今のかぶく役者連も 江戸古典歌舞伎に 様々な新演出を 試みております。


大きな変化、小さな変化。



中でも大きな突破口を開いたのが 猿之助旦那。


難しい歌舞伎の台詞や演出を 分かりやすく・・・・。  

例えば 



「変わるもの」は テーマとなる素材 劇場や 時代のニースに合わせた題材。

「変わらないもの」は江戸時代の雰囲気 衣装 かつらのファッションの基本!!

「変えてはいけないもの」は 女形 見得 付け などの歌舞伎独特の要素。

「変えなくてはいけないもの」は お芝居のテンポ 
お客様がご覧になられるストレスのない 芝居のスピードアップ。

と   

これは実は 猿之助旦那がはじめてやった事ではなく 
その時代 その時代に お客様の求めに応じて 座頭役者が 
常に試みて来た方法なのです。


ある時期 前の時代の方法がお客様に受け 興行成績も上がった時代は 
それから逸れてしまうのを恐れ 先のままにやっていただけ・・・。


変化を恐れた時代もあった事でしょう。
それは 歌舞伎の世界のみならず、その時代の流れでもあったと思います。

猿之助旦那は そこに喝をいれ ひとつの道をスーパー歌舞伎に見出されました。


今では 歌舞伎界でも 勘三郎さん 染五郎さんたちがそれに続き 
独自の分野で ご自分歌舞伎観を拡大されております。


今回の『ヤマトタケル』もそう云った斬新的な意味を持ちながらも、
再演を重ね、練られる事により、
ある意味では 「古典」に入ってきたのではないかと思います。


初演の 何もない所からの産みの苦しみ、

再演の 初演を上回るのが当然と云うプレッシャー。

そしてたび重なる再演に その都度成長し 新しくなり、そして進化しました。


今回は あえて初演あたりの演出に戻る部分もございます。




それを全部ひっくるめて、すべて見て参りました一人として・・・

感慨深く お稽古の一日一日を過ごしております。

ちょっと今日は 思ったままのブログ、ごめんなさい