明日が千穐楽。 

私たちの生活(公演)は、千穐楽が一区切りです。


28日には国立劇場で俳優祭はございますが、これはプラスαのようなもので、
千穐楽が終わりますと 2月のお稽古が始まり、私たちの感覚は
もう2月なのでございます。


と云う事は今年の12ヶ月のうち、もう 12分の1が終わった事になります。


来月、博多座の公演以後には 6月7月とおもだかやの襲名公演が東京で続き、
その後も 今年のある程度の公演の予定が詰まっております。


今までのいつもは、来月 どこの劇場かなあ?などとハラハラしておりましたが、
一門 一座が結束致しますと やはりこんなに強いものかと思います。


公演の実態で、やはり現在は ある程度 劇団制度になりつつあります。



その代表格と申しますと、

昔からございます、尾上菊五郎さんをはじめとする 菊五郎劇団。

これは六代目菊五郎さんが亡くなられた後 薫陶を受けておられた
現・菊五郎さんのお父上 梅幸さん 
現・松緑さんのおじい様 二代目松緑さん
そして 故・羽左衛門さん

そのお弟子さんたちベテランも加えて 
その方々のお力が現・菊五郎劇団を支えております。  



その劇団に対抗して 先代吉右衛門さんのその後 
歌右衛門さんを筆頭に 一座らしきものにはなりましたが、
この頃から 時代の流れで 歌舞伎の公演回数が 圧倒的に減りました。


そして、東京とは別に 関西で活動しておりました
上方歌舞伎も衰退して参りました。




その後、師・猿之助旦那が 若手の最筆頭で、手掛けられた一連の活動。

猿之助旦那は、いわゆる大一座に組することを、良しとしない形で、
おもだかや一門を 当時の若手だけで作られ それが現在に至ります。


当時は私たち名題下も 劇団に追いつけ 追い越せで 立ち回りなども
少ない人数ながら、本当によく頑張ったと思います。


その頃からバブル絶頂期の影響もあり おもだかや一門 
若手だけで海外公演などにも 何回も行かせて頂きました。


以前は歌舞伎座でも 歌舞伎公演以外の公演が、多くございました。

例えば 萬屋錦之介さん 大川橋蔵さん 三波春夫さんなどの
時代劇公演。


しかし、残念な事ではございますが、現在ではテレビでも 
時代劇の影が薄くなりました。



そんな中 有り難い事に 歌舞伎だけは一門 劇団が増え 
若手がどんどん成長して 楽しい公演が 多くなって参りました。



今では一門一座と云う 考え方が歌舞伎を大きく 動かしていると思います。 


勘三郎さん 福助さん 橋之助さん引きいる中村屋、成駒屋のご一門。


吉右衛門さんも劇団を大きく意識され始め 
昨年襲名されました新しい又五郎さん、歌六さんを加えての播磨屋ご一門。

上方歌舞伎も坂田藤十郎さん始め  
我當さん 秀太郎さん 仁左衛門さんの松嶋屋ご一門。

幸四郎さん 染五郎さん 高麗屋ご一門。


團十郎さん 海老蔵さんの成田屋ご一門。


これに加えて 玉三郎さんも別個で公演を持たれ


さらにここに おもだかや一門が6月に 再結成されます。


こんな形で一門のお芝居が栄え また、時によっては 役者方がシャッフルされ
別の組み合わせの一座で、新たなお芝居がうたれます。 

これはお客様にとっては 大変嬉しく 楽しみな事でしょう。


同じ月に歌舞伎の公演が 全国で五座も六座も幕が開く なあんて事は
ひと昔前では まだまだ考えられなかった事です。



20年、30年前当時の猿之助旦那のお言葉、御本意とは違うかも知れませんが
猿之助旦那が 描いておられた歌舞伎の それぞれの面白いお芝居への挑戦、 
劇団対劇団の競争。


こう云った事が 現在歌舞伎公演で実行されているように思います。



来月は東京新橋演舞場では中村勘九郎襲名披露公演。

名古屋御園座では 菊之助さん 松緑さんの 花形歌舞伎。

大阪松竹座では 染五郎さん 獅童さん 愛之助さんの 花形歌舞伎。

博多座では 亀治郎さん 門之助さん 右近さんはじめ 
おもだかや一門の花形歌舞伎。 


歌舞伎座休館の中、なんと若手が座頭となり花形歌舞伎が三座。


演舞場では 大幹部さんも たくさんご出演され 
新・勘九郎さんに華を添えられますが 勘九郎さんの責任興業と致しますれば、
実に四座が花形歌舞伎の様なものです。


その他 玉三郎さんのシネマ歌舞伎も公開され 歌舞伎にとっては
景気の悪い2月ではなく 華々しい2月となりそうです。


恐らく これからの歌舞伎を 担って行きます20代30代の花形の花盛り!!

これからの歌舞伎界も ますます 楽しみであると思えます様な
そんな 2月の公演でございます。



私たち 中堅??も また あちらこちらに 「華??」を添えて
良ければいいなと思います。

若手だけでは 芝居はできません。

が、若手なくしては 新しい歌舞伎の未来はございません。

新しい 歌舞伎の未来を どうぞ 暖かくお見守り下さいますよう
お願い申し上ます。



そして皆様、是非 来月はお近くの劇場へ 足をお運びのほど お願い申し上ます。