今月の『妹背山婦女庭訓』に登場いたします、玉三郎さん扮する「お三輪」
先日、お三輪の名前の謂れを 書かせて頂きました。
大和の国の奥深い場所、三輪山。
そこらあたりの在所の娘、と云う設定ですが 着ております衣装も
その事を彷彿させる文様となっております。
今月、玉三郎さんが着ておられます 「お三輪」の衣装がこれです。
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190630/10/enzaburou/b3/9e/j/o0250039514486058581.jpg?caw=800)
草深い田舎娘と云う意味で わざと野暮な色合いの草色が使われております。
襦袢、裏地は娘ですので 赤。
これはお染やお里など 多くの娘のお役にも使われておりますが、
お三輪は燃え上がるような恋心も 表現していますでしょうか?(笑)
そして、着付けの文様は「十六むさし」と云う柄で、
十六目石 または 十六六指とも書きます。
これは江戸時代に流行った遊戯具。
線に沿って駒を動かす まあダイヤモンドゲームの様なものと思って頂ければ
お分かり頂けるかと思いますが 私も実際の遊び方は知りません
その模様を柄として、あしらってあります。
それともう一つ 銭の十六文。
これは、昔(お芝居の時代背景は飛鳥時代ですが、舞台上の時代背景は江戸時代の為)
十六文(今で換算すると約300円~400円くらい)が
色んな生活品目の目安でした。
そばが十六文 八卦見が十六文 等
身分の高い 求女、実は藤原淡海に恋をして 蘇我入鹿の妹 橘姫と張り合う。
そのお三輪は卑しい身分の娘 と云う事でイメージとして
当時の一般的な十六文も 表現してございます。
今は花丸柄になっておりますが、昔は丸は一文銭散らしだったそうです。
余談ですが、大阪夏の陣で討ち死にした真田幸村の旗印は 六文銭。
これは、死んだ後に三途の川を渡るときの 渡し船賃だと云われております。
話がそれました(笑)
明日はこの着付けの中に着ている もう一枚の着付け 段鹿子について
お話致します。