今月の『妹背山婦女庭訓』に登場いたします、玉三郎さん扮する「お三輪」

先日、お三輪の名前の謂れを 書かせて頂きました。


大和の国の奥深い場所、三輪山。


そこらあたりの在所の娘、と云う設定ですが 着ております衣装も

その事を彷彿させる文様となっております。



今月、玉三郎さんが着ておられます 「お三輪」の衣装がこれです。

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草深い田舎娘と云う意味で わざと野暮な色合いの草色が使われております。

襦袢、裏地は娘ですので 赤。


これはお染やお里など 多くの娘のお役にも使われておりますが、

お三輪は燃え上がるような恋心も 表現していますでしょうか?(笑)



そして、着付けの文様は「十六むさし」と云う柄で、

十六目石 または 十六六指とも書きます。


これは江戸時代に流行った遊戯具。


線に沿って駒を動かす まあダイヤモンドゲームの様なものと思って頂ければ 

お分かり頂けるかと思いますが 私も実際の遊び方は知りません


その模様を柄として、あしらってあります。


それともう一つ 銭の十六文。



これは、昔(お芝居の時代背景は飛鳥時代ですが、舞台上の時代背景は江戸時代の為)

十六文(今で換算すると約300円~400円くらい)が

色んな生活品目の目安でした。



そばが十六文 八卦見が十六文 等 


身分の高い 求女、実は藤原淡海に恋をして 蘇我入鹿の妹 橘姫と張り合う。


そのお三輪は卑しい身分の娘 と云う事でイメージとして 

当時の一般的な十六文も 表現してございます。


今は花丸柄になっておりますが、昔は丸は一文銭散らしだったそうです。



余談ですが、大阪夏の陣で討ち死にした真田幸村の旗印は 六文銭。 

これは、死んだ後に三途の川を渡るときの 渡し船賃だと云われております。



話がそれました(笑) 


明日はこの着付けの中に着ている もう一枚の着付け 段鹿子について 

お話致します。