昨日のブログの続きです。

『三笠山御殿』まで来た求女(実は藤原淡海)は橘姫が入鹿の妹であると知ります。

橘姫もまた 求女が兄に敵対している 藤原淡海と知ります。


お互い、許されぬ間柄であるにも かかわらず ここであることを約束して 
その後であればと 夫婦の約束を致します。 


そして二人が いなくなった後に、 お三輪がこの御殿まで 追いかけて参ります。 





そこで出て参りますのが 私たち いじめの官女。(笑)


イメージ 1




  この後、ちょっと 内容に触れております。

  有名な演目なので いいかとは思いますが、初めてご覧になられる予定で、
  あまり 予備知識なくご覧になられたいと思われる方は、お気をつけ下さいね。




田舎娘が なんでこの奥御殿へ?と 訝しくも思いながら 橘姫の婿君 求女を
追いかけて来た女だと察知いたします。


そこで このお三輪を 婿に会わせてやろうと云いながら 
いじめて追い返そうと致します。 


お三輪は泣く泣く 云われるままに 酌の取り方や 謡までやらされ
挙句の果ては 肌を脱がされ 鉢巻きをされ 裾をまくられ 馬子歌まで唄わされて
散々 辱めを受けます。 

それも 求女に会いたいがため!! 


でも 官女たちはお三輪を散々弄んだ後に 求女に会わさず 追い返そうとします。



その後 奥に下がった官女たちの 婚儀を祝う声を聞き 
一層 憎しみと 恨みを募らせます。 



怨念の炎となったお三輪は 鱶七(実は金輪五郎)に刺殺されます。

ここで お客様は お三輪の叶わぬ恋と 悲劇に愕然とされるはずです。





ここに私たち いじめの官女の 役割が明らかになって参ります。


金輪五郎(=鱶七)は藤原淡海(=求女)の父 藤原鎌足の家来。 
ひそかに 蘇我入鹿(=橘姫の兄)を討ち果たす 役割を背負っておりますが、
なかなか その機会がございません


蘇我入鹿を討ち果たすためには 三つの あ・る・も・の が必要となって参ります。

(その みっつの意味は また 後日)


そのひとつに 恨みを抱いた若い女の生血が 必要なのです。


いじめの官女たちは 自分たちのご主人を滅ぼす助けとなるとは 知らずに 
お三輪をいじめます。


御殿の奥深くに潜入した鱶七にとっては 願ってもない事。


求女を求め、そして 官女に辱められた、その恨みの心故に
お三輪は 刺されてしまいますが、その後に 真実を知ります。




真実とは 求女(実は藤原鎌足の息子 淡海)が入鹿を討つのに 
自分の死が役に立つ、愛する求女の為になる という事。

愛するひとの為になる事であればと お三輪は 喜んで死んで行くのです。 


ここに叶わぬ恋の果てがございます。 この世で添い遂げられないのであれば
私にしかできない 愛する人の為に死んで行く・・・・(涙) 


橘姫には出来ない事を 自分がして、役に立って死んで行くと云う事に
お三輪は満足して 死んでいくのでございます。


如何でしょうか? 女の奥深さ 歌舞伎の とらえ所の奥深さ!!  (笑)



そして、如何でしょうか?

私たち いじめの官女が 戯れ?嫉妬?はたまた 暇つぶし??
おそらく 軽い気持ちで やってしまった事が 
知らなかったとはいえ、実はとんでもない事を 引き起こしてしまった 
その罪の 奥深さ。


この後、おそらく いじめの官女達が 陥るであろう、奥深い闇。



こうしてみますと、ちょっと「いじめの官女」の印象も変わるのではないでしょうか?


次はもう少し 色々な方向から 奥深いお話をさせて頂きたいと 思います。