私が昼の部に出させて頂いている『与話情浮名横櫛』

「粋な黒塀 見越しの松に あだな姿の洗い髪、死んだはずだよお富さん」 

の、歌でも有名な 『源氏店(げんじだな)』 


このお芝居 実は九幕三十場の大長編なのですが ほとんどの場面が面白くなく

結局 今月の「木更津海岸見染めの場」と「源氏店」の二つだけの上演が多く、

お客さまには少し 分かりにくいお話と思われるかもしれません


実は見染めの場でお互いが一目惚れになった与三郎とお富。

お富は地元のやくざ 赤間源左衛門の囲い者。それとの逢引きが知れた与三郎は

子分たちにメッタ斬りにされ す巻きにされて海へ投げ込まれます。


それを知って悲観したお富も、赤間の子分から 逃げるために海に身を投げます。


そして二人ともかろうじて お互い知らないところで 一命を取り留めた後

再会するのが 多左衛門の囲い者となっている「源氏店」と云う事です。



こう云った演目の出し方は 

「この間のお話は皆様 よくご存じでしょ?ですから間は割愛しますね。」 

と云う 昔ながらの狂言立てです。



うちの猿之助旦那は お話は起承転結が大事だから 途中だけをやったり

途中を省いたりすると 物語の面白さが半減すると よく云われていました。



今回のお富与三郎もそのような ところもございますが 

本来 二枚目役者の与三郎が、お芝居とは云え 三十数か所 切り刻まれると云うのは 

見ていて、あまり気持ちのいいものではないと云う配慮からでしょうか?

普段は上演される事が 少なくなりました。



随分前の事になりますが 木更津へ遊びに行った折 

この与三郎と蝙蝠安のお墓に行ってまいりました。



演目としては有名な『与話情浮名横櫛』ですが 実は私 出させて頂くのは

これが初めて。


今回はその場面は出ておりませんが 後で与三郎を切り刻む 

赤間の子分を勤めさせて頂いております。


写真は 赤間の子分。


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そしてお願いして 撮らせて頂いた 福助さんのお富。

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花道から出る前に 私と一緒に撮って頂いた写真です。

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