昨日に続いて 今日も『勧進帳』の話題を・・・。


弁慶が水衣の下に着ている着付け 

その写真がこれです。


 
 
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この柄 格子(こうし)は何と云うでしょうか?


よく本などでも 弁慶が着ているので 弁慶格子と書かれてある事が多いのですが、

これは弁慶格子ではなく 正確には翁格子(おきなこうし)と申します。


そして本当の弁慶格子は 『夏祭浪花鑑』の団七や一寸徳兵衛が着ているのが

色違いの弁慶格子です。  

この二つの格子は よく間違えやすい柄ですので 覚えておかれるとよいかと思います。



これらは同じ『勧進帳』の四天王が着ている着付けです。


 
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弁慶と柄は同じですが 太さが違います。 


 
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やはり弁慶は太く 四天王が細いのは 力強さを表しているのでしょうか?(笑)

余談ですが 常陸坊はさらに 格子が細くなっております。

(ちょっとわかりにくいのですが、上が四天王の三人のもの、
 下に少し写っておりますのが、常陸坊のものです。
 少し細くなっておりますのが お分かり頂けるでしょうか?)



もっとも四天王も 弁慶の様に水衣の下に着ておりますので 


ちょっと 見えにくいでしょうか? 


お芝居をご覧になられる時には、袖と襟元でご確認ください。


今度はいつか 義経 富樫の衣裳も できればご紹介致しますね。


やはり『勧進帳』は こう云った衣装からも 

かなりお能の『安宅』の影響を受けております。



ですから歌舞伎なのに、お能に敬意を表して 見得の際に バッタリと云うツケを

ほとんど使用しません


長唄全曲中 ただ一か所だけ ツケを使用する見得は 

一旦 安宅の関を逃れた義経一行 そこで弁慶が過去を振り返る 物語の中でだけ
ツケを使用した見得がきられます。 


これは右手を 頭の上にかざした形で「石投げの見得」と云われます。 


お芝居をご覧になられた時には 音にも少し ご注意して ご覧ください。