今月のブログでは 猿弥さんを始め 右近さん 亀治郎さん 
愛之助さん 吉弥さんと 凄いメンバーに色を添えて頂き  
昨日は香川照之さんまでご登場頂きました。(笑)



ここまでご登場頂いたら 今日はやはり この方でしょう。


『一心太助』において 私演じます 柳生又十郎が警護致します 徳川家光。
上様です。


その「家光」と「太助」の二役を演じておられるのが、
この中村獅童さんです。


 
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さて、これは 「太助」でしょうか?「家光」でしょうか??(笑)


写真は「太助」の扮装をした 「家光」と云う設定で 
魚屋で半纏を着ておりますにも関わらず、どこか 殿様らしい雰囲気。

魚屋としては おかしいかもしれませんが、襟を合わせ きちんと着て 
殿様らしく 見えてしまうように 工夫されておられます。

この写真は 舞台裏ですが、舞台上のある場面では この半纏すら
「太助」の字が 見えないくらいに 襟を合わせて 着て居る事がございます。



反対に太助の殿様の扮装は 着物を崩して着られ 魚屋らしい着方です。


ここらの違いもご注目されて お芝居をご覧になられると 
面白いところですね(笑)


全く この「上様」には 毎日 驚かされております、私 又十郎。
本人(=家光)は 至って 普通なのでしょうが・・・
普通が 普通ではないと云うのが 今回のお芝居の面白いところ。

毎日「上様!!」

と 客席の皆様と一緒になりまして、ドキドキしております。





さてこの獅童さんですが 先日の亀治郎さん 愛之助さんの御両人は
結構子供の時から 子役として活躍されておられましたが  
実は獅童さんも何回か 猿之助歌舞伎に 出演されておられます。

(獅童さんご自身が 筋書きに 少し触れられているようですね)




1982年(昭和57年)東京歌舞伎座 7月公演。


実は、私自身の記憶の中では、子役時代の獅童さんの思い出は
この時だけなのです。

もしかしたら もっと たくさんご一緒していたかもしれないのですが・・・


夜の部は『天竺徳兵衛新噺』


そして昼の部 
『御所桜堀川夜討(藤弥太物語)』『黒手組曲輪達引(黒手組の助六)』
舞踊として 『独楽』『高野物狂』『浮世風呂』  


この『高野物狂』に 出演していた子役さんが当時9つの獅童さん




ところが、実はこの公演の12日の夜の部に、
猿之助旦那が舞台裏で 足の指を骨折されると云う 大事故がございました。


そして「猿之助公演」に 猿之助旦那が1週間休演と云う 予測もしない事態となり
13日から 段四郎さん、歌六さんや 歌昇さん(現又五郎さん)が
代役を勤められました。

『高野物狂』の「物狂い実は高師四郎」役も 
猿之助旦那から歌六さんへ 代役となりました。


旦那は 13日~20日まで休演されまして、21日から復帰されましたが、

21日からは『黒手組の助六』が『伽羅先代萩』の「床下」「刃傷」「対決」
への 狂言差し替えとなりました。
 
この月は まさに異例の公演となってしまいました。




この大変な時に 唯でさえ ハラハラドキドキの子役さんが 
相手が変わり ドタバタした公演になった事は 
獅童さんにとっては 辛かったと思います。




実は 私が とりわけ この公演が 心に残っておりますのは、
『高野物狂』の時に 「すのこ」(舞台上部の 雪などを降らすところ)におり、
この時は 物語の 箇所箇所に 桜(だったはず・・・)を降らせておりました。

散り花の効果・・と申しますが・・・名題下の役者が 担当いたします。

およそ50分間。

曲のきっかけきっかけで 降らす必要がございましたので、
「すのこ」から 動く事が出来ません。

まさに 舞台の真上から 毎日この舞台を 見ておりました。

それゆえ、その時の 獅童さんの様子も 心に残っております。




そう云った子役時代から、その後の不遇な青年時代を経て 
一躍 今 主演の座を 勝ち取られたのは 
やはりご本人の努力の賜物でしょう!!


役者はある時期になると化ける と よく云われますが 

獅童さんこそ ある意味 一番大きく化けた役者さんではないでしょうか?



歌舞伎に限らず 皆様も御存知の映画では『ピンポン』に始まり
『男たちの大和』『デスノート(声の出演)』他
日本だけに留まらず 海外での映画などにも数多く出演され
『レッドクリフ』『硫黄島からの手紙』等々は 私もすべて見ております。
それぞれ、本当に感動致しました。



それが今は新橋演舞場で 一緒の舞台を踏ませて頂いているのは 
本当に嬉しいですね。


もちろん 亀治郎さん 愛之助さんに習って 私も一緒に写真に収まらせて頂きました。


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『一心太助』の忙しい 出番と出番の合間に快く承諾して下さりました。



こう云った色んな方々の 成長を楽しみながら 
私は今月の舞台に立たせて頂いております。