新橋演舞場 今月の昼の部には『京人形』と云う演目がございます。

これは舞踊劇で 右近さん扮するところの 左甚五郎が彫って作った人形が

魂をもち動き始めますが・・・

左甚五郎と云う 名人芸をたたえた舞踊です。




そして後半の大工との立ち回りは 一応華で付け加えた様な内容ですが、

この立ち回りは 「唄立ち回り」と云われ 常磐津の唄と曲にのせて

ある意味、歌舞伎役者にしかできない動きを要します。


そして掛かる得物も 木槌であったり 鉋や 手斧 鋸と云った 大工道具を使い

それぞれに大工の作業を彷彿させる 立ち回りの手がついております。


今月の10人の大工になぞらえた立ち回り。


名題下さんたち 本当に粒がそろっており 10人が10人 

なかなかいい味を出しております。



今日の写真は 京人形に出る前に スタンバイしていた大工の面々に 

お願いして 居る人数だけ 写させて頂きました。


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正面は弟弟子の猿琉さん 猿若さんを撮らせて貰いました。

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二人とも 活躍しているので 是非ご声援のほどを。



30分と云う 比較的 短い演目ではございますが、
色々と 見どころ満点だと思います。



今回の 私猿三郎の オススメのマニアック 見どころはこれ!!!

大工たちが着る半纏にも 是非ご注目ください。



まず、両襟に「おもだかや」の名前 

後ろは右近さんの紋「おもだかづる」の柄となっております。

おもだかの葉から下向きに つるの顔になっております。

(先ほどの写真で ご確認くださいね)


そして もうひとつ、半纏の裾模様。

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上は「たちおもだか」の紋になっております。

下のこれが いったい何??と 実は 私自身が 気になっておりました。


私の 暖簾にも使わせて頂いております「くくり猿?」
と思ったのですが 何かが違う???


今日、衣装さんに 聞いてみました。





なんと!!!!



これ「橘」なんですって!!



どうして 「橘」?と思われる方も いらっしゃるでしょうか?

ピンと来た方は 「にやり」とほくそ笑んで(笑)下さい。






「右近の橘」の 橘なんです。


ご存じのとおり、「右近の橘 左近の桜(梅)」


こんなところに 「右近」が 織り込まれております。




こう云ったのは 実は歌舞伎にはよくある事で 

その出し物をする役者さんの紋や名前が 

柄になっている事が 少なくありません



花四天におもだかの花があしらわれていたり 

お祭りのからみが三ツ猿の紋だったり

おもだかやの一門だけでなく やはり音羽屋は菊のあしらった柄や

成田屋などでも 半纏や着物に 鎌 ○ ぬ の柄 等々。 

そいった事が多々 ございます。


ございますが、この「橘」には ちょっと 私も「やるなあ」って
思ってしまいました。


こう云った「隠し絵」ではないのですが、ところどころに潜んでおります
見つけた人だけが「クスッ!」っと笑える様な 遊び心。

歌舞伎って 素敵だなあ~ と 中に居る私でも 思ってしまいます。


皆様も こう云った楽しみ方、如何でしょうか?


ちなみに この衣装 右近さんが主役の時でしか使えない 半纏となります。

なんとも贅沢でしょ!!(笑)