今月の夜の部の通し狂言『當世流小栗判官』

「小栗判官」「漁師浪七」「お駒」 この三役共に 
亀治郎さんにとっては すべて初役です。

そりゃそうでしょう。


先日制定された 猿之助四十八撰。 

亀治郎さんにとってはすべてが初役のこの演目連。

それでも この中のもういくつかを猿之助旦那より 受け継いで上演されています。



血が騒ぐのでしょうね・・・(笑)


『加賀見山再岩藤』『金幣猿島郡』『敵討天下茶屋聚』等々


その中のさらなる挑戦 『當世流小栗判官』


細身の亀治郎さんがお駒を含む 小栗判官 浪七と 荒々しい二役を 
本当にダイナミックに演じておられます。


そして 右近さん扮する胴八に頼まれ その浪七の邪魔をする

瀬田の鰻蔵が、今回の私の夜の部のお役です。

この写真 がそうです。


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この鰻蔵 不思議な格好をしております。

これは2度目の幕外の出の時の姿ですが 着ているのは
不思議な感じの 上っ張り??です。


これ、なんと云うのかな?と 衣装さんに聞いてみますと
「大阪手っ甲(てっこう)」と云うそうです。

私の認識しておりました「大阪手っ甲」とは ちょっと違うのですが、
そう云うみたいです。


簡単に申しますと、私たちが着る現在のラッシュガードです。


何かあった時 着物を脱ぎ棄て さがりとこの姿になり 海に飛び込みます。

ちょっと分かりにくいのですが、この写真の状態は
着物を 肩脱ぎした状態ですので 見えております。
本来でしたら その上から 着物を着ておりますので
見えない事になりますね。



今のラッシュガードの事を考えると 理にかなっている姿でしょうか(笑)


うしろの姿


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この柄は「たこ絞り」と呼ばれ たこの足の吸盤をモチーフにした
絞り模様になっております。

いかにも 海の近くって感じですよね。
(今回は 海ではなく 湖ですが・・・)


この模様は 結構 あちらこちらで 使われておりますので
ご覧になられた事も あるのではないでしょうか?

一番分かりやすいのは 後の亀治郎さん扮する浪七。
その大立ち回りの時も 衣装の濃さは違いますが 
このたこ絞りの模様の 大阪手っ甲を着ております。



この浪七の大立ち回り 『蘭平物狂』の蘭平、『新薄雪物語』の妻平と並び
三大立ち回りと云われております。



どこか『ひらがな盛衰記』の逆櫓の樋口次郎に似た この浪七の亀治郎さん
現在 本当の骨太の演技で頑張っています。 


立ち回りと共に 衣装にも少し、ご注目くださいませ。