夜の部の『女殺油地獄』の主人公 河内屋与兵衛は 
現代でもおそらく どこにでも居る不良青年。

無職で 親の金を当てにして 遊び呆けている親不孝者です。


そして自分でも 至る所から金を借りまくって 結局は
自分に優しくしてくれ 助けてくれた人妻のところへ
金を借りに行き 断られて カッとなって殺人を犯し 身を滅ぼすと云う

まさに現代の世相を見るような 青年の物語です。



江戸時代でも 今の世も 人間の本能は そう変わらないと云う事でしょうか?(笑)
笑いごとではないのですが。。。



ところで この与兵衛、至る所から金を借りておりますが、

舞台となる「殺しの日」は 明日になれば利息が 大幅に膨れる
と云う期限の日。


金を借りに行く思案の最中に その途中 金貸しと出会ってしまいます。

そして催促される金額が 200匁、(セリフでは200目と云っておりますが・・・)
それが明日になると1貫目となるのです。


「鳥が鳴くまでに持って行く」

そう約定します。




ところで・・・

猿三郎ブログでは 恒例となりました 「現在では??」


しかし、この「女殺油地獄」は 上方のお芝居です。
従いまして、江戸の狂言と違って 上方は銀本位制。 
換算するのはいつもと勝手が違い、かなり 難しいです。



小判ですとテレビの時代劇でも 10両 100両とか 

皆様方も、かなりお馴染かと思いますが、上方のこの200匁。


いったい いくらでしょうか?



時代によって多少誤差は生じますが 銀60匁が=金1両と云いますから

200匁は 約3両1分 現在価格で 325,000円くらい。
(一両を10万円として 換算しております)


それが日を跨ぐと 銀1貫目=1000匁になるのですから 
約16両3分 1,675,000円ほどに 膨れ上がる訳です。 



利息計算がこの当時 どう云うシステムかはわかりませんが

一応 期日までは信用貸しと云う事でしょうか。


それにしても、一晩で5倍とは・・・

江戸に比べて やはり上方は お金に対する考え方が厳しいのは
今も昔も 変わらないみたいです。(笑)