昨日の続きですが・・・・ 阿古屋の髪の形は、
歌舞伎では立女形の傾城がかぶります「立兵庫(たてひょうご)」
と云う あたまである事は昨日に 述べました。


この「立兵庫」 
笄(こうがい)は本来は 鼈甲(べっこう)ですが 
昨今ではいろいろと規制が厳しく なかなか手に入りません。

歌舞伎でも「練り物」と云われる 代替の物が使われるようには 
なりましたが それでも ○十万円はするそうです。


本来の本物の鼈甲ですと 百万円を超えるかも・・・の金額だそう。


もちろん衣装も○百万円ですから そうしますと 玉三郎さんお一人の
衣装かつらで ある程度の方の 年収分にもなりますでしょうか?(笑)


そしてこのあたま、重さは有に 5キロは超えます。
(5キロ入りのお米にしても 重たいですよね!
 それをあたまに乗っけている訳です。 笑) 

衣装もかなりの重さがございますので この扮装をして 1時間以上に
及ぶ舞台で 三曲を演奏されるには かなりの体力を必要とされます。



さて、今月のル・テアトル銀座での女形は 
玉三郎さん扮しますところの「阿古屋」と「女伊達」 
この二役しか登場いたしませんので あたまも二枚だけです。
(あたま、かつらの数は 枚と申します。)

蛇足ですが かつらと云うのは 本来、台がねの状態を云い 
あたまと云うのは 髪の毛を植えて 結いあげられていく状態のものを指します。 

ま 結いあげたものをかつらと呼んでも 意味は通りますが・・・


そして「あたま」と呼ぶのは 歌舞伎界だけではないでしょうか?




現在の歌舞伎関係では 台がねを扱う「かつらや」さんと 
立役の専門の床山さんと 女形の専門の床山さんと
会社が分かれております。
いってしまえば 分業制と云う感じでしょうか?

女形専門の床山さんが立役の頭を結う事はございません

(会社の中で 特別な・・・例えば 個人の舞踊会などの時に 
 一社で引き受けた場合など 例外はございます。 
 そのために立ち役の床山さんが
 女形の頭の結い方の勉強をされる事などは ございます。)  

あくまでも 歌舞伎の舞台関係では 立役と 女形に
担当する会社は分かれております。


ですから 今月の女形専門の床山さんは 玉三郎さんの頭しか 
扱っていない訳です。
これは大変 珍しい事です。


でも この2枚を扱う床山さんは かなり緊張して 毎日 携わっております。

舞台同様 玉三郎さんはかつら 衣装にも凄く 繊細な方であられますので
「立兵庫」の 高さ 幅 髪の毛の硬さなど 細部に至るまで、
常に気を配っていなくてはならないのです。


ブログをお読みの方は、一度 あたまを結いあげてしまうと 
形は同じじゃないか・・・と思われるかも知れませんが 
毎日の一時間以上の舞台で 汗や その人の体温 舞台の温度などによって
髪の鬢付けが とけて来たり 動く事によっての 崩れが生じて参ります。


それを毎日 元の状態に結いあげ 毎日の舞台に臨まれる 
玉三郎さんの縁の下の力持ちになる訳です。


今日の写真は 「立兵庫」の正面から見た写真。

イメージ 1


後ろから見た写真。

イメージ 2


そして その髪を結っておられる 女形専門の床山さん 島根政夫さんです。 

イメージ 3