昨日、江戸東京博物館に「隅田川」の特別展に行きまして。
その後、地図を見ながらブラブラ。


実はこの後、隅田川を越えまして、浅草橋方面へ行きたかったのですが、
地図上の最短距離はJRの河川橋。

電車に乗れば ひと駅なのですが、それは少し悔しいので(笑)
ひとつ南の 両国橋を渡る事に致しました。


その為、両国駅から 暫し南へ・・・


と、突然 正面に回向院が・・・・


このあたり、バイクで浅草橋方面から 森下町のお稽古場 ベニサンスタジオ
(ヤマトタケルの初演や スーパー歌舞伎のお稽古等。)
に行くときには よく通っておりました。

でも、両国橋を渡ってすぐに 右折したりしておりましたので
通ったことは、なかったように思います。

その距離 わずか 10数メートル!!


回向院、こんな 目と鼻の先にあったのですね・・・


地図上の道。この最短コースを行くだけで、
目的地にはすぐ着いてしまいますが、そのつい先の場所は
そこに どんな名所であっても 気がつかずにスルーしてしまいます。

残念なことですね。


事前に 予備知識があったら、ずいぶん楽しめるのでしょうね。

ということで、今回は徒歩の散策で 行きつけましたここ。

回向院です。



相撲の関係も所縁も多いのですが、ここには「鼠小僧次郎吉」のお墓がございます。



『鼠小僧』 野田秀樹さん演出の舞台でも 馴染みのあるこの名前。


実は昔 父に台詞の勉強で 教えてもらった作品、明治が舞台の散切り歌舞伎。

河竹黙阿弥作 『島鵆月白浪(しまちどり つきのしらなみ)』の台詞の中に 

ある事情で やくざの兄貴分の島蔵を 匕首(あいくち)を持って 
脅す千太の台詞がございます。 

その後の島蔵の台詞。

「おう、千太 これは何の真似だ? これは素人にするこった!!
 俺にするのは釈迦に説法! こんな無駄な事はねえ! 

 鼠小僧は闇の夜に 向こうが見えたと云う事だが、 あんまり目先の
 見えねえ野郎だ! 速善信士の墓に行き 樒(しきみ)の水でも飲んでこい!!
 
 なんでえ こんなもの振り回しやがって これでおれを斬る気か!!
 おう! 墓場の角は欠けようが  おれの頭は欠けねえから 
 やれるものならやってみろ!!。」

と云って 抑え込む場面がございます。

私 このお芝居 勉強不足で見た事はないのですが 父がこの15世 羽左衛門
さんの台詞の啖呵が とても良いと云って この台詞を 教わった事がございます。

でも この速善信士や 墓石の欠ける意味が全く分かりませんでした。


でも昨日 回向院へ行って 鼠小僧のお墓の前で 謂れを読んで 目から鱗です。


なるほど 速善信士は民衆に回向された後の鼠小僧の戒名で 

墓石の角を削って 持ち帰ると 泥棒に合わない お金を盗まれないと云う

謂れがあるのですね!!! 

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この辻褄は ここへ来て見なければ 知る事の出来ない またまたこれは!!

の、世界のお話でした。 

尚 台詞の中では 信士(しんじ)と教わりましたが お墓に行くと
居士(こじ)と なっておりました。

イメージ 2


台詞の語呂では当時 (今も?) 信士と云っていたのかと思います。



今月は こんな江戸時代の謂れを 少しでも見つけたい 探したい 

東京 江戸 近場の旅を続ける 猿三郎でした。