今月、夜の部の切は『白浪五人男』が上演されております。

私 このお芝居 何度出た事でしょうか。

手代の役が多かったのですが、もちろん 
稲瀬川の黒四天も多くさせて頂いております。


古くは現、菊五郎さんの弁天で 手代をさせて頂いた事
猿之助旦那で 花道の按摩をさせて頂いた事、

そして以前、二十一世紀歌舞伎組の巡業で、今回と同じ鳶頭の役を
させて頂いております。



お客様の中でも この演目に関しましては 何度か
色々な配役で ご覧になっているのではないでしょうか。

それほど、たびたび上演されております。



私に特化致しますと、昨年一月の新橋演舞場公演で、
この半通しに出演致しましたのが 一番近い例になります。

もっとも この時には 半通しでございましたので、
私は今月の舞台には出て参りません「滑川」の場面のみの出演でした。

その折には こちらのブログでも、浜松屋を去る時の弁天の台詞
「しが」の意味についても 解説させていただきました。

懐かしいですね。



さて、ここで問題です(笑)

「濱松屋」の場面で、男に戻りました弁天小僧。

手持無沙汰??とは申しませんが、いくつかの小道具を
もてあそんで?ございます。

煙管もその一つですが、もうひとつ、手拭いがございます。

この手拭いの 模様は何でしょうか?



答え


豆絞り


でございます。


では、この豆絞りの手拭いは どこにあったのでしょうか?


弁天の持ち物?


いえ、最初は振袖のお嬢様に化けております 弁天小僧菊之助。

まさかそんな、色気のない?物は持っておりません。

この出所を すぐに当てられる方は 果たしてどのくらい??



この豆絞りの手拭い、実は今月は私猿三郎の演じております
鳶頭清次が 持っているものなのです。


なんやかや、調停に出たつもりが・・・結局悲しいかな手代連中に
屋敷の奥に追いやられてしまいます鳶頭。

去り際に、怒りのあまり、持っておりました手拭いを弁天小僧に
投げつけて去っていきます。



残念ながら、「退場!!」を言い渡されてしまいました鳶頭。

この後、濱松屋の店の奥では どんな物語が展開されているのでしょうね。


しかし、持ち主の鳶頭清次は 知ってか知らずか??
悔し紛れ??に 投げつけました 豆絞りの手拭いは、
この後の物語に ずっとかかわってまいりますのも不思議なものです。


振り回され、扇ぐのに使われ、最後はほっかむり・・・笑


物語半ばで 撤収されました 私鳶頭清次よりも活躍しておりますのは
なんだか 悔しいような。。。



ところで、もうひとつ、私 鳶頭清次の持ち物が弁天小僧に
持ち去られております。

こちらは、丁稚さんの台詞にもございますので、
お気づきの方もいらっしゃるかな?

最後に、弁天が履いて行きます草履。

あれも「頭のもの」

つまり鳶頭のものだったのです。

哀れ、手拭い(これは投げつけたので 自業自得ですが・・・)
と草履を 弁天に持って行かれてしまった 鳶頭(笑)

ある意味、被害者でしょうか?(笑)

この後はどうなったのでしょうか?
それは 皆様のご想像にお任せ致します・・・(笑)