一口に舞踊『道成寺』と申しましても『京鹿子娘道成寺』に始まり 
『二人道成寺』『男女道成寺』『奴道成寺』等々 
10何種類もの道成寺がございます。

(このことは以前のブログにも書かせて頂きました。)


さらに『京鹿子娘道成寺』のなかでも 様々な演じ方がございます。

ちなみに最長バージョンで(道行から 押し戻まで さらに舞踊部分 割愛なし)
を上演いたしますと、悠に2時間を超える踊りでございますので、
これは ご覧になる方も 踊る方も大変ですので 
その都度 上演形式を変えております。


本来は道行場面は 義太夫で踊る訳ですが、一昨年の12月歌舞伎座公演では
三津五郎さんが 坂東流の演じ方で 珍しい常磐津で踊られた型がございます。


そして今回の演舞場では割愛されておりますが 本来は門前で 
花子と所化とのやり取りがあり 所化の舞尽くしのお話があります。 


それから、紅白の幕が上がると 花子の『花のほかには 松ばかり~』から
『諸行無常』以下の件となります。


ここで 鳴り物のあしらいとともに金冠烏帽子を紅白の綱に かけるのですが
いつものやり方は 中啓で金冠を払い その勢いでかけます。


今回の福助さん 成駒屋型では 金冠烏帽子の白房を紅白の綱にかけるやり方でございます。


細かいところですが こんなところにもそれぞれのお家の 型がございます。



また所化の「菖蒲杜若(あやめかきつばた)」の踊りも 
桃色の手拭いを鉢巻きにして 踊っております。 

これもその都度のやり方で 変わって参ります。(しないときもございます。)


恋の手習いも 花子が上手から登場するやり方です。

これとは違い緋毛氈の消し幕で舞台上に すでに来ている場合もございます。


そして山尽くし 鞨鼓 振り鼓と続きますが 
これも今回はある程度 曲を割愛しております。


山尽くしの後に 再度 上手に引っ込み 扮装を変えて 
「ただ頼め」の手踊りの踊りを 踊る場合もございます。

さらに この後 鐘入りとなり 所化の踊り 鱗四天の登場の間に 
お化粧を変えて 後ジテとなり 立ち回りの後 押し戻しの登場となる訳です。




今あげましたのは、少しマニアックな部分ですが・・・

もっと 親しみやすいところで申し上げますと、花子の衣装。

色や意匠、毎回所化で出ております私も、楽しみに見させて
頂いております。


これも、演じられる役者さんや、その時その時によって
着られるものが違っております。


かつらも前かんざしだけが変わっていたり・・・
ちょっとした事ですが、見ていて、興味深いものです。


どうでしょうか? 
少し並べただけでも 同じ道成寺でも これだけのやり方がございます。



ちなみに 今回は 初めのあしらいのさなかに 道成経(みちなりきょう)を読み上げ
道成寺の由来を 花子が語っております。 

この辺にも ご注目を・・・・