つい先日までは 雨 雨 雨 ゲリラ豪雨!! などと うっとしいお天気が続き
晴れた青空を羨望しておりましたが こんなに 晴れ 晴れ 晴れ 暑い 暑い 
と なると 此間までの 雨が懐かしく思うのは なんとも人間と云うものは
勝手なものだと ほとほと思います。(笑)


そんな中 舞台上は熱く!! 劇場内はある程度 冷房で涼しく!!

お芝居を見るのが 一番最適なのかもしれませんよ(笑)

で 舞台上での雨となると ・・・・ 客席も冷房より 涼しく感じるかも知れません

歌舞伎のお芝居の背景となる効果音。 

所謂、自然現象の事ですが、 雨 雪 雷 風 等々。


目に見える雪などは、紙の駒切れなどを上から降らすやり方などは 
皆さまも ご覧になった事は あるかと思います。


また雷も 照明で光を ピカピカさせたり 音は雷車という 独特の物を使う事も
以前 このブログでも紹介いたしました。


そして 雨 風 と云いますと 舞台下手の黒御簾内で 鳴り物さんたちが 
大太鼓のバチの使い分けで 表現されることが多いです。

(歌舞伎の場合 かつらも 衣装も誇張したお芝居には 本来の雨音を録音して 
 テープで流すというやり方は 向かないのです。 逆に『竜馬がゆく』のような
 リアルなお芝居はまた この鳴り物の雨音は向きません。)


先の雪も 視覚効果の紙吹雪とともに 本来はない 雪に音をつけて 
静かにドーン ドーン と 読んだだけでは表現できない 深々と降る音も 
大太鼓で表現いたします。


また 違うバチで 雨 風の音も使い分けるのですが 
今月の『双蝶々曲輪日記 米屋の場』では もう少し 
リアルな音が要求されております。


それは 降り初めの 小雨の音。


幕開き 吉弥さん扮するおせきが門口から表に出ると 
パラパラパラと 雨が降り出してきます。


また 染五郎さん扮する濡髪長五郎が 翫雀さん扮する放駒長吉と
達引き(喧嘩)をするために 花道から傘をさして登場するシーン
ここにもパラパラパラ と云う 雨の音が致します。



この小雨は 少し太鼓では表現しにくい為に 太鼓の雨音にかぶせて
特別に下手の袖に 雨の音を立てる人がおります。

今回は翫雀さんのお弟子さんの翫政(かんせい)さんが 
この効果を担当されていますが、不思議な道具を使い この音を出しております。


写真は翫政さんです。 そして 持っている「うちわ」にご注目下さい。 

イメージ 1


うちわに ビーズのようなものが無数にぶら下げられております。 

そのまま「雨うちわ」と呼んでおりますが、


イメージ 2


これを下に向けて 振り返すことで パラパラパラ と云う 
小雨の雨の音になるのです。


昔は一粒づつ 小豆が糸によって無数にぶら下げられておりましたが、
長い間には腐ってしまうために 今ではプラスチックのビーズになってしまいました。

でも私は やはり小雨の音は 小豆のほうがよかったように思いました。



太鼓を使って表現する雨。 雨うちわを使って表現する雨。 

また今月の新橋演舞場『名月八幡祭』の大詰めの雨は 
本水を使って土砂降りを舞台上で 表現しております。


一口に雨と云っても様々です。
 

このように、なにげない舞台でも その表現方法はあらゆる手段を駆使しているのが 
歌舞伎の面白いところなのです 

 

追記
中村翫政さんのお名前、間違って表記しておりましたので
訂正いたしました。

ご指摘ありがとうございます。