昨今 皆様から 多くのコメントを頂きながら 最近はそのお返事が
なかなかできずに 大変、申し訳なく思っております。 

なにとぞ お許しくださいませ。



さて 話は変わりますが 私たち役者は 毎月 いろんな御役を
させて頂いております。


ほとんどは 歌舞伎の中に登場する人々ですが 実際に歴史上でも
重要な役割で登場する人々も ございます。


私が 勤めさせて頂いた御役では、先のお役は 

たとえば忠臣蔵の堀部安兵衛(歌舞伎では 織部安兵衛)ですとか 
義経の四天王 亀井 片岡 伊勢 駿河 など・・・・ 

とは申しましても、この方々は 歴史上の人物と云っても 
かなり歌舞伎風に誇張された人々。


これに対し 修禅寺物語で勤めさせて頂いた 金窪兵衛。 

これなどは 新歌舞伎ですので かなり写実的な人物像でした。


実際に、修善寺を訪れました際には、頼家の墓の近くの説明に
金窪行親の名が出て参りまして、改めまして 歴史上に実際にいた人物だと
感慨深く思ったものです。


それでも このあたりの方は 時代的に古く 事実関係以外 
どんな人かはわかりません

他に歴史上の人物と申しますと、先の右近さんの『極め付け 森の石松』では 
清水次郎長役を させて頂きましたが これは半分 今風の時代喜劇。


また、中国ではございますが、『新・三国志』の「張角」や
『西大后』の「袁世凱」や「安徳海」などは、かなり有名な人物の部類に
入るでしょうか?


それにしましても、どうしても「歴史上の人物」感がぬぐえません。

(もっとも、袁世凱は100年ほど前まで 生きていた人ですが・・・)



そこへ行くと 今回の『竜馬がゆく』の吉井幸輔と云う人物、
 
検索していくと いろんな関係が分かってきて その人が実際に生きていた人

といいますか。。。

「生の」人物像を想像させることができます。


今までは そんなに気にも留めなかった、ある歴史上の人物が・・・・、

ある日突然 私にとって すごい身近な人物となり、親しみが沸き 
他人ではないような感じがして参ります。


私 ふと考え 振り返りますると 今まで 勤めさせて頂いた人物で
日本史上 登場する方は 金窪兵衛だけでして それを除きますと 
今回の吉井幸輔役は 名前のある人物としては 
初めてではないかと思います。

今までは いわゆる 脇役での御役が多く 
その役名は別に その人でなくてもよい、と云ったような 
御役が多かったのですが 

(役を軽く見ているのではないですよ、役としての実在感といいますか 
 そういうものですので 念のため)

今回の吉井幸輔は 吉井幸輔でなくてはならない御役なのです。


明治24年で亡くなっておりますので、祖母とも同じ時代を
生きている事になるのです。


もう少し 調べましたら・・・

お孫さんが「吉井勇」さんということ・・・

これにも驚きました。

歌人で小説家とのことですが、正直それは詳しくは知りませんが、
京都祇園白川。京都のドラマでは 必ず一回は登場するあの場所にあります


「かにかくに 祇園はこひし 寝るときも 枕のしたを 水のながるる」

 この歌碑の方だったのですね。


ますます「本当にいらっしゃった方」のお役をさせて頂くのだと。

もちろん、ご子孫の方もいらっしゃると思います。
歴史に出てくる方ではございますが、歴史上の人物と申しますよりも
本当に生きておられた 息吹までが 感じられるような気がいたします。

イメージと申しますか何と云いますか、そう云ったものを
私によって 壊してはならないと深く思います。


そう云った意味で 本当に大事な御役を 頂戴したと思っております。


私のこのお役に対する 意気込みを お判り頂けたらと 存じます。

     がんばります!!