一昨日 紹介いたしました大和坊の衣装 かつら。


そのひとつが 『大口袴』でした。  

裾の部分が見た目よりは 大きく開くので 『大口』と申します。

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写真がその袴です。

一枚目が前からの写真。二枚目が後ろからの写真です。

舞台で 見ていただいてもわかると思うのですが、
後ろの方には、ぱりっとした

(ごわっとした と云うほうが もしかしたら あってますでしょうか)

質感がございます。


実は、前の部分は 普通に布地だけで出来ているのですが、
後ろの部分には素材として 別の素材が 入っております。
 

何が入っているかおわかりでしょうか? 




実は畳などで使われる 上敷きが入っております。 

いわゆる「ござ」が入っていることになります。
最近は、運動会や遠足の時に使用する 「ござ」も
化学繊維のものになっておりますが・・・

私の大好きな ハワイでは まだ 一人用の一畳ほどのござが
たくさん売られておりまして 嬉しくなってしまいます。



話が あらぬ方向に・・・(笑)

元に戻します!





衣装に いつの頃から使われているのかは 私もよくは知りませんが

形物の歌舞伎の衣装としては 実によくできていると思います。

あの質感や はりは 布地だけでは なかなか 出すことが出来ません。
本当に 素敵な 工夫ですよね。




『黒塚』の他 『鏡獅子』や『勧進帳』の歌舞伎舞踊物。 


また『義経千本桜』の渡海屋 平知盛のような丸本時代物。等々

様々なところで この大口袴が使われます。



そして 『勧進帳』の富樫左衛門や『茨木』の渡辺綱などは 

長袴の下に この大口袴を穿いて その上から長袴を着付けております。  



腰に当てる袴板も オーストラリアンブーメランの様な Y字型の

独特なものを使用して 形が崩れないようにしてあります。



いずれにしても この袴を穿くと 気持ちも体も引き締まり 

これから大作の舞台に出演するんだと云う 自覚が生まれて参り 
神聖な気持ちになります。



今度 いずれかの作品をご覧になり この袴を見られた時には
参考にして頂きたいと思います。