来月の出演させていただける劇場が決まりました。


新橋演舞場 八月歌舞伎公演 「石川五右衛門」です。

8月8日(土)初日  27日(木) 千穐楽


外題がなく、「石川五右衛門」という人物の名がついた演目は
不思議な感じが致します。


今回は 原作を担当されましたのが、樹林伸(きばやし しん)さん。

この方は 漫画「金田一少年の事件簿」や「神の雫」の原作者として
活躍されている方と 聞いております。


海老蔵さんが、この「石川五右衛門」の世界を どのように広げていかれるか
すごく楽しみであります。




同じく「石川五右衛門」を題材にした演目といいますと、
「金門五三桐」(「楼門五三桐」)がございます。



私が初めて、国立劇場に 中村扇雀さん(現 坂田藤十郎さん)の
お手伝いをして 参加させていただきました時に、(舞台には立っておりません)
この演目が 上演されておりました。



1976年(昭和51年)4月のことです。


「金門五三桐」といえば、1950年(昭和25年)の
二世實川延若さん主演の記録映画が 傑作として残っております。


この時の公演は これを 模した?といってもいいのでしょうか?

国立劇場において 三世實川延若さんが、関西歌舞伎総出演で 上演いたしました。


このとき、初めて 国立研修生の第三期生として 卒業したところの
親友、故市川猿十郎(このときは 本名の 木原広和)と出会い、
親交を深めました。

思い出の深い公演です。




これよりも もっともっと 昔の話。

1963年(昭和38年)9月、私が11歳の時のこと。

(昨日書きました 皆既日食と 同じ年のことです。)


旧梅田コマ劇場にて 中田ダイマル・ラケットさん主演で
「佐助と五右衛門」と云うお芝居が 上演されておりました。


 猿飛佐助がダイマルさん、石川五右衛門がラケットさん
 霧隠才蔵が茶川一郎さん、真田幸村が夢路いとしさん
 三好清海入道が喜味こいしさん、豊臣秀吉が 父 嵐冠十郎。

と云う、配役で 喜劇のお芝居でした。


私は、くノ一  三郎太 (実は男が女の忍者に扮していると云う設定)で
出演しておりました。


序幕は全く 歌舞伎仕立 南禅寺山門の場です。 



そして お芝居最後の幕切れの場面。

ラケットさん扮する 石川五右衛門が 三条河原で釜茹でになるシーン。


悲惨な場であるにも関わらず・・

親友のダイマルさん扮する猿飛佐助が「辞世の句は?」といった時に




 「いしかわや 浜の真砂は つきるとも・・・

     ・・・・われ泣き濡れて カニとたわむる」・・・と 


佐助が 書き写しながら

  「同じ石川でも それは 啄木の 句やがな!!」 といったところ


  「五右衛門 これが 最後の 盗み収めじゃぁぁ」という台詞で
   喜劇らしく終わります。





 喜劇ですので笑いで終わるのですが、


 石川五右衛門の
  「いしかわや 浜の真砂は つきるとも  世に盗人の たねは つきまじ」

 石川啄木の 
  「東海の 小島の磯の 白砂に   われ泣き濡れて 蟹とたわむる」


まあ、なんとも 素敵に コラボといいますか、
ミックスして 見事 教養のある「オチ」にしたものだなと 思います。

お客様も よくお分かりで 毎回 笑いが起こっておりました。


まだ、小学生だった私にとっても、忘れられない芝居と幕切れの
印象的な台詞として 残っております。




さて、来月の 海老蔵さんの お芝居。
 
また、新しい 五右衛門を見せてくれることと思います。 
私も 今から 楽しみです。