毎年毎年、七月の歌舞伎座には 様々な思い出がございました。




さよなら公演、歌舞伎座、最後の七月に、思いがけなく大変 楽なお役を頂きました。

朝一番で出番が終わり こんな事もあるのかなあ なあんて思いました。



それも一つの経過 ? 記念 ? であると思っておりました。




・・・が・・・どうしてどうして やはり七月は それだけでは終わりません



様々な奮闘公演を 過去に経験しての今月、


自分の中で こんなに 苦しい ・・・ 


また別に  お芝居として こんなに いい体験をさせていただいた 
七月は、逆に初めてだったかもしれません。
  


一週間前の今日(月曜日)の 今頃は、夕飯ものどに通らず、
一室に閉じこもって、台本とにらめっこしておりました。



それより およそ 10時間前・・・・



以前 ブログにも 少し書かせていただきましたが。。。



「五重塔」の開演前に、猿弥さんが 今日、舞台に立つことが出来ないと。


代役を選定中なので、出番が終わっても 帰らないで 待っていて欲しいとの
事を松竹の会社よりつげられ、自分の舞台に向かいました。


そして、私の出番が終わり、待機しておりますと。。。

まだ 五重塔は上演中ではありましたが、

『海神別荘』の「沖の僧都」の代役が 私に決定した旨、会社から 告げられました。



心積もりではないのですが、『夏祭』の「釣船三婦」、
『天守物語』の「小田原修理」は ひょっとして ? 万が一?。。。
という気持ちで 控えておりました     が・・・・


 「沖の僧都」のお役については、万が一どころか 億が一、それ以上
まさか、まさか、私のお役どころではないと思っておりました。

 

それを、目の当たりにして、慌てふためきました。

以前に何度か 芝居は拝見させていただいておりましたが、
いざ、個人のお役となりますと そうではございません。


出番まで 二時間弱。


その間に会社に台本を貰い、DVDを見せていただく段取りをつけ、資料室に行きました。


(歌舞伎座の下の資料室に行きますと、これがまた、様々なメーカーの機種であり
 自分で器械の段取りを することは この短時間には 到底無理でした。
 アナログのビデオの方がありがたいのに・・・)

まず ここでイライラしました。

持ち出し厳禁の ソフトをとりあえず 後でお詫びするつもりで
(本当に ごめんなさい!! )

楽屋に持って走り、喜猿さんのDVDプレイヤーを借り、
化粧前で 段取りを つけながら 台詞と 立ち位置などを
確認しながら 見ておりました。



ところが、非常事態は 私一人のことではなく・・・(笑)
(恐らく 私以上の パニックが あちこちで 起こっていた事でしょう)


衣装さん、床山さん、それから 音響さん、狂言さん 様々なところに
その状況は及んでおり、
私は私で僧都のお化粧をしながら必死で台詞と 格闘しておりましたが、


まず 床山さんが 猿弥さんの鬘が もし私に合わなければ 
つくりさなければならず、あわてて 持ってこられました。

実は猿弥さん 頭が小さいので ほとんどの人が かぶられません

幸い、私は今回は 何とか 無理矢理かぶりました。



その後は、衣装さんが飛んできて(笑)
私と猿弥さんの体格が余りにも違い、衣装を 縫ってとめて 縫ってとめての
状況と 同時進行で 私の体と あわせていただきました。
 
その間 打ち合わせをしながら お化粧をしておりました。


五重塔の終了後、舞台が出来上がった時点で とにかく 舞台に行って
演出家の先生と  立ち位置や 侍女のお三方(歌女之丞さん、京妙さん、松之亟さん)
そして 海老蔵さんとの段取りを確認  

皆様は先に待機してくださり、 すべて 短い時間で 教えてくださいました。


とはいえ いろんな皆様の フォローや 手助けがございましても、

私、正直何がなにやら・・・本当に いっぱいいっぱいの状態で
一回目の 舞台にたっておりました。



その1日目の 舞台の上は。。。記憶の抜け落ちている 部分がたくさんございます。



そんなこんなで 七月六日の舞台が終わりました。



また 明日に つづきます。