今回の『雷神不動北山桜』の中で、重要な人物はたくさん登場して参りますが、
所謂、看板さんでない役者さんで 最も重要なお役は  
「万兵衛 実は瀬平」では ないでしょうか?


先日 ご紹介致しました 笑野くんの小磯の本当の兄は万兵衛ですが
小磯が序幕 大内で早雲の王子に殺された後 万兵衛も地元で
殺されたことになっております。

で 小野春道を失脚させるために 小磯の兄 万兵衛を名乗って 
小野館に乗り込んで参りますのが、このお役。 


実に重要な役です。 ところが歌舞伎十八番 『毛抜』の場面では 
敵役にもかかわらず 少し三枚目風に描かれております。


粂寺弾正に嘘を暴かれ あたふたする所業に 
観客は胸のすく思いをするのでしょうね。


この「万兵衛 実は瀬平」を演じておられるのは 嵐 橘三郎さん!

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私の父 冠十郎 亡き後 上方歌舞伎ゆかりの嵐姓を名乗っておられるのは 
この方 おひとりだけです。
(前進座の方々は除きますが・・・)


私の先輩で 天王寺屋 中村富十郎さんのお弟子さんで 
名題になられた折 嵐姓を継がれました 実力派の歌舞伎役者さんです。

現在はお弟子の域を離れて 単独で歌舞伎公演に御出演されており
それこそ 色んな一座から 引っ張りだこの存在です。 

来月は新橋演舞場で 播磨屋さんの鬼平犯科帳にも御出演が決まっております。

私が関西に所属していた折からのお付き合いで 
私にとってはおもだか屋の一門より 深い御縁があります。



今月は御園座の楽屋を 二人で使わせて頂いております。

先日も久しぶりに 二人で飲みに行き 昔話に花が咲きました。


今日の写真は 嵐 橘三郎さんの『毛抜』での「万兵衛 実は瀬平」です。

おなじみの表現を使わせて頂きますと 
「実にいい仕事をしている。 いい味を出している。」

独特の持ち味の 貴重な役者さんのお一人になられました。