昼の部 二人三番叟が終わりますと、
すぐに海老蔵さんの口上と続きます。


ご挨拶に引き続き、成田屋系口上の独特のやり方に、
『睨み』が御座います。

他の方の口上ではこれは一切御座いません



新年に成田屋さん(現在では団十郎さんと海老蔵さんですが)に
睨まれたお客様は一年間無病息災に過ごせるとの言い伝えが御座います。

今月、さぞかしたくさんのお客様が睨まれた事と存じます。(笑)


ただこの『睨み』 海老蔵さん
全神経、全精力を『眼』に集中させております。
その後の幕が引かれるまで、お客様にそのほとばしる気を放っております。

この間、呼吸はしておりません

これは相当辛いのだそうです。



以前、十一代目海老蔵襲名の折、大阪松竹座での口上『睨み』の後
幕を引くのが少し遅れたのだそうです。


幕がしまってから、七代目(菊五郎)さんが

「ただ幕を閉めると思うな!きちんとやらないと、
こいつ(海老蔵さんの事)死んじゃうよ!」

と幕引きの人を注意されたそうです。



このお話を楽屋が一緒の新十郎さんから聞きました。

全魂全霊をかけた『睨み』だからこそ、迫力があるのでしょうね。


海老蔵さんの全身全霊を注いだ『睨み』

千秋楽まで、おひとりでも多くのお客様に見て頂きたいものです。