今月の私のお役、肝煎り由兵衛の「肝煎り」とは、何かご存知ですか?
実は、今回お役を頂いたとき、漠然としたことしかわかりませんでしたので、
調べてみました。


肝煎りとは、山川出版社の「日本史広辞典」によりますと
「世話役・支配役・斡旋役の意味」また「江戸時代の村役人。庄屋・名主のこと」
とあります。
確かに、百両の金の貸し借りの間に立ち、斡旋をしておりますね。

物語の裏のキーである百両のお金ですが、決して私演ずる由兵衛が
直接貸したわけではないのです。

もし、治右衛門からの 返金がないと、
由兵衛自身に 火の粉がかかるかも・・・ 
そう云う 複雑な立場のお役であります。



そしてもうひとつ。これは、先日のブログに対してのこと。

昨日、ブログを読んで下さった門之助さんから、

「千日の懸詞を紹介してくれたのなら 私のセリフの
“西口”の意味も懸詞で紹介して欲しかったね(笑)」

とご指摘を頂きました。


あぁそうか!先日はそこまで頭が回らなかったと反省。

追加で改めて紹介させて頂きます。

お役所の為替の金とも知らず身請けを喜んだのもつかの間、
梅川は忠兵衛から公金の封を切って使った事を知らされます。
そして心中を決意している所へおえんが戻り、

『門出(もんで)の勝手も近いがよいと、札は“西口”へ落ちましたわいなァ。』

とのセリフ、続いて 浄瑠璃で
(聞くも“西”方、“西向き”の知らせと二人はワナワナ)
となります。

この西口とはもちろん、西方浄土の入り口を示唆しており、
後の太鼓持ちたちのセリフ、千日(一昨日のブログで紹介)へと続きます。


どんどん先行きが 悪くなっていく事を暗示している訳です。
先日の続きとして紹介させて頂きました。