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今月の弁天小僧の大詰め。

極楽寺大屋根の場から山門の場に変わる仕掛けを
昨日、がんどう返しとご説明致しましたが、
「がんどう」とはご存知でしょうか?


蝋燭(ろうそく)を立てる燭台を、水平に保ったまま(蝋燭は垂直のまま)
消えないようにして持ち運び、暗闇を照らすサーチライトみたいな道具です。


歌舞伎では、「一條大蔵譚」で 「桧垣」から「御殿」に移る際に
吉岡鬼次郎が 持って出て参ります。
ご覧になった方も いらっしゃるのではないでしょうか。


歌舞伎以外でも 時代劇映画などで、忍者や泥棒などを照らし出す道具
として使われています。

あれをがんどう( 漢字で書きますと 「龕灯」)と申します。



一本の棒を支点に90度角度を変えても 位置は変わらない
と云った原理を逆に扱い、舞台転換をすると云う発想が、
すでに江戸時代にありました。


それを明治時代に書かれた弁天小僧の立ち回りに応用されたのです。


この演目以外にも、この仕掛け「石段曽我」や「八犬伝、芳流閣」
などにも応用されております。


いつの時代 誰がこれを考え出したか 当時、特許や版権などのない時代
定かではありません が、たいした知恵だと思います。


パソコンやデジタルのない時代だからこそ
こうしたアナログな仕掛けが面白いのでしょうね!!



四の切の三段から登場する狐忠信の出や
四谷怪談の幽霊が燃える提灯の中から現れて空中へ浮かぶ様など、
歌舞伎では昔からの様々な仕掛けが舞台を盛り上げてくれます。

考え出した人の名は残らずも、何百年に渡るこの舞台技術と工夫
これからも使われるであろう これらの伝統に歌舞伎のロマンを感じます。


今日の写真は弁天の大屋根 がんどう返しの始まる寸前の点検と準備です。


   昨日はがんとう返しと書きましたが、
   正確には がんどう返し だそうです。
   訂正いたします。