今日も暑い一日!!  毎年 7月はお芝居も 気候も暑くて当たり前 そんな月です。(笑)

1979年7月 もう今から29年も前になりますか・・・・
『伊達の十役』(だてのじゅうやく)と云う 
先代萩のパロディ版 早替りや仁木弾正宙乗り と云うお芝居を歌舞伎座で上演致しました。

正式名称は『慙紅葉汗顔見勢』(はじもみじ あせのかおみせ)
      恥も外聞も捨てて お芝居の中で一生懸命 真っ赤に顔を染めて十の顔を見せる

師・猿之助の復活狂言集大成!!! 生き替わり死に替わり40数回にわたって 
男・女 善・悪 殺し殺され 裁き 裁かれ 
 十役を師・猿之助がひとりで 4時間以上に渡るお芝居の主役を演じると云う 画期的なものでした。

これは、この年の4月に明治座で初演されたものを あまりの反響の大きさに 
当初『小栗判官』であった狂言を差し替え 急遽 7月 歌舞伎座で再演され 
9月には京都南座においても 上演されております。

(明治座公演の時は あまりの反響の大きさに 新聞その他を御覧になった 初めてのお客様の 
 電話が引っ切り無しに続き その時は 『さるのすけの いたちのじゅうやく』と云う
 注文の問い合わせが多かったそうです。)  笑い話ですね・・・


当時 加賀見山再岩藤(かがみやま ごにちのいわふじ)での七役早替わりが有名でしたが 
作品の面白さと 登場人物の知名度 人物描写においては 
この『伊達の十役』の方が 物語も上手く描かれており
ご見物の皆様も 楽しんで頂けた作品だと思っております。

 * もちろん このときのお稽古も連日 徹夜明け方までと云う日が 10日以上も続きました。


今 加賀見山の早替わりなどは 菊五郎さんや勘三郎さん 
それに昨年は先代萩の裏バージョン 裏表先代萩(うらおもて せんだいはぎ)として 
勘三郎さんが何役かには挑戦されておられます。 
でも 極めつけの 十役に関しましては まだまだ ベテラン 若手の方々も 
二の足を踏んでおられます。

それだけ 体力的にも 精神的にも演技的にも むづかしい作品!! 
立ち役 女形 二枚目 大仇 等 全てを違和感なく演じられることが 
この作品の要素となっております。

師・猿之助はこの作品を復活上演した年齢は40歳前後 ヤマトタケルもしかり・・・ 

今 海老蔵さんや 染五郎さん 亀治郎さん達が 33歳前後 

旦那が四の切をはじめ 独自の歌舞伎公演 春秋会などを行われておられた年齢です。

そして海老蔵さんは今 義経千本桜を歌舞伎座にて上演されており 
亀治郎さんも 奥州安達原などを旦那を追いかけて上演されております。

機運が煮詰まってきた時 この『伊達の十役』を 
どなたの手によって復活再演されるかが 今の私 凄い楽しみです。


まだ未知数ですが そんなお話も あればいいなあ~