實川延若、河原崎権十郎、島田正吾、市川猿之助、市川段四郎、金田龍之介、安井昌二(敬称略)


そして、市川猿弥。




この方々の共通点はなんだと思われますでしょうか?



ヤマトタケルの配役において、一つの役を一番多くの役者さんが演じてこられたのが、

「帝」

なのです。

「ヤマトタケル」というお芝居の中で、タケルの生き様の「サイ」を振っている人物
(したくはないが、せざるを得ないことを、役目として与えてしまう指導者?存在??)
この難しい存在を演じているのが、「帝」を演じられた八名です。


この「帝」と云う難しいお役、今までは勿論 私よりもずっと大先輩、実力者の方々が
演じてこられました。

今回、新たに、金田龍之介さんとダブルキャストと云うことで、
夜の部は市川猿弥が演じております(呼び捨てごめん!!)



猿弥さん、私より年下です。(当たり前や・・・)

私が歌舞伎座の猿之助旦那のお芝居で、普通に(大人と云う意味・・・)出演していた時
子役として楽屋をうろうろしておりました。

それがなんと、金田さんと向こうを張っての「帝」であります・・・
夜の部のカーテンコールの際、彼が帝として登場する際には、
出演者一同 膝まづいて、彼を迎えます。
大きい役者になったなあと、感心とともに尊敬いたします。

猿弥さんはまた、私演じるヤイレポの 弟ヤイラムでもあります。
十年前は、彼がヤイレポを演じておりました(当時ヤイラムは段治郎)

私、彼に抱かれながら、「もうこれまでだ」と息絶えた後、
「蝦夷」の生き方をすべて語ってくれている彼の台詞に、
満足しながらの毎日で、死んだ後は、私も観客となっております。
「うまいなあ・・・」


この猿弥さん、今回は弟であります。
「オオクニヌシ」のときは、長男右近さん、次男猿弥さん、私が三男。
私が一番年上ですのに、二人が兄でした(笑)

「当世流小栗判官」の時には、横山大膳(猿弥さん)、
私演じる横山次郎の父でした(笑)

ひとまわり以上は年の違う猿弥さんですが、あるときは弟、あるときは兄
そしてあるときは、私の父(猿弥さんにとっては、不本意でしょうが・・・)

どの役として一緒になっても、妙に落ち着くと云うか、しっくり来ると云うか・・・
天性(転生?)のものを感じます。

お客様も、彼の舞台の安心感を感じられていることでしょう。
演じている私も同じなのです。

これから三ヶ月、弟よ・・・
年老いた(笑)この父のようなあにじゃを助けてくだしゃれ。

そしてまた、次の舞台では、どうなるかわかりませんが、
新たなる「縁(えにし)」を創りたいです。

弟であり、兄者であり、そして父上!
私にとって、あなたは本当に「不思議な人」です。
猿弥さん これからもよろしく~!!