新橋演舞場でのヤマトタケルも、余すところ三日間、四回公演となりました。
二日連続の二回公演と云うのが、かなりきつく、今日で一応のヤマは越えました。

この新橋演舞場と云う劇場、設備は最新なのでございますが、一つだけ欠点がございます。
楽屋は、地下二階・地上三階になっております。
一番辛いことは、この劇場には楽屋にエレベーターがないことです。

従いまして、尾張の場面でタケル以下、十五人が大ぜりにて地下二階まで下がります。
ここから、タケル一行は次の出のために、花道に向かいます。

尾張のメンバーは、次の拵えのために、階段を上がって楽屋に戻ります。

あの衣装のまま、寿猿さんはじめ、みやず姫、侍女、そして私、階段を三階分から四階分を
走りあがらなければなりません。
これが辛いのです・・・
(勿論、ほかの場面でも、この階段上下運動、それぞれの方々が辛い思いをされておられます)

衣装が大きいので、階段にはすれ違うだけの幅がありません。
また、次の拵えが控えていて、一刻も早く楽屋に戻らなければならない人もいます。
そのため、寿猿さんなどは、カーテンコールまで出番がないのにも関わらず、
一緒に巻き込まれて、必死に走って楽屋まで上がっておられます。

私も、舞台を見る限りでは、次の出番はカーテンコールですが、
実は尾張の国造が終わった後に、ワカタケルをはじめとした子役さんたちの
お化粧を再度いたしております。

私も一刻も早く衣装を脱ぎ、呼吸を整えて子役さんの部屋に向かわざるを得ません。
そのため、寿猿さんを巻き込みながら、一種のトレーニング状態で走っております。
あの衣装をまとった寿猿さんが階段を疾走している様子を想像してみて下さい。
申し訳ないくらいに、本当にお元気です。頭が下がります・・・

来月博多座からは、エレベータのある小屋です。
後三日間、どうぞ我慢してくださいね、寿猿さん!