熊襲館で、猿四郎さんのかぶる「兄タケル」の鬘が、今日の写真です。
床山さんに量ってもらったところ、昨日の衣装の二十キロにはもちろん及びませんが、
何と、2.5キロの重さがございました。
これと段治郎さんが宙乗りの際にかぶる鬘が、今回の最重量鬘の双璧です。
段治郎さんと同じ役を、右近さんもされておりますが、お二人の体格差もあり、
段治郎さんの髪の毛のほうが長く、その分重くなっております。
皆様、想像してください。
三キロ近くに及ぶものを、頭にのせて、演技する辛さを・・・
ところがでございます。
この二つの鬘は、まだ軽いほうで、本来、一番重たい鬘は、何だと思われますか?
答えは、立兵庫の鬘でございます。
これは、皆様よくご存知の、「助六の揚巻」や、「吉田屋の夕霧」といった
傾城の女方のかぶる鬘たちでございます。
これは、なんと、笄(こうがい)や飾り物などで、約五キロの重さがございます。
五キロのお米を買って帰る際、私でさえ、近くでもぶら下げるのがきつく、
ついつい自転車で行ってしまいますが、それを頭に乗せて演技していると・・・
なんとも女形と言うのは、すさまじいものです。
勿論、昨夜のヤイレポの衣装の重さよりも、さらに傾城の衣装は重いのです。
これを着て、鬘をかぶり、演技をされる歌舞伎の女形さんたち、
どれだけの体力が必要か、お分かりになるでしょうか?
その辛さを、おくびにも出さず、涼しい顔でお芝居をされる女形さん。
皆様も、お芝居をみられるときに、ちょっと衣装や鬘にも注目してください。
今回、寿猿さんのされている、私「尾張の国造」の妻、今までは私のもち役でありましたが、
この衣装も、結構重いです。
私でもかなりきつかったのですが、私の大先輩である寿猿さんが、着こなしておられることに
改めて、敬意を表します。
寿猿さん、姉さん女房、ありがとうございます。
これからもよろしくお願い申し上げます。
・・・鬘のお話からちょっとずれてしまいました。今夜はこの辺で・・・