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櫨。

これはなんと読むと思われますでしょうか?

はぜ と読みます。

どうして突然この櫨と云うものが今日のタイトルになったと思われる方も
多いと思います。
実は私たち役者にとって、とても馴染みの深いものなのです。

これは、漆科の植物です。
この櫨の実から脂分を抽出し、作られたものが、鬢付け油(びんづけあぶら)です。

この鬢付け油を、白塗りの際、下地に満遍なく塗ることによって、
白粉(おしろい)が映えます。
私ヤイレポはもちろん、兄姫・弟姫などの女形、また、立役でもタケル・タケヒコなど
下地には必ずこの鬢付けを塗っております。

これは、お相撲さんたちが、髷を結う際に使っているものと、素材は一緒です。


よく色んなお客様から、何回もお化粧をしたり落としたりしていることで
肌は荒れませんか?とのご質問をいただきますが、
この鬢付け、毎回塗っていることによって、結構お肌は滑らかになっていることは
否めません。
油を塗り、落とすと云う作業が、肌にはいいのかも知れず、この年になっても
結構私のお肌、つるんとしています(・・・らしいです・・・笑)


鬢付けには、色々な硬さの度合いがございます。
役者さんによって、好みがありますが
私は、「すみれのかたねり」というものを下地に使っております。
下地用としては、比較的軟らかいほうになります。

長い時間もたせるためには、もう少し硬いものを使うこともございます。

またもう一種類、もっともっと硬いものを 眉を潰すために使います。
大学の講義や、ロイヤルの講座等で、お客様の前でお化粧をさせていただく際、
この硬いほうの鬢付けを使う時に、よくビックリされます。

と言いますのは、私たちが眉をつぶす際には、硬い鬢付けをライターの火で焙り、
少し溶けた状態で、眉に塗りつけて使用します。

私にとっては、日常の当たり前の事なのですが、初めて御覧になった方には
かなり驚かれます。
「熱くないのですか」と聞かれますが、溶けた直後、少し冷ました状態で、
固まる寸前に眉に付けますので、熱さはそれほどではございません。

子役さんのお化粧をする時にも、ライターの火を見た瞬間に、
大概のお子さんは、体を引きますが、「冷ましているから熱くないよ」と
説明して使用すると、ホッとしたような顔で次からは怖がりはいたしません。

女性のお化粧からすれば、考えられない使用法ですよね。。。
ビックリされるのは、無理もありません。


今日の写真は、私の化粧前の鬢付けと、手のひらの鬢付けです。
これから、ヤイレポのお化粧をいたします。
この手にある鬢付けは、眉ではなく、顔に下地として塗るものです。