この日は、トクベツで。
本当のことをいうと、彼逢いたさに午後休までとっていた。
いつもは私の定時より1時間早い彼の定時に合わせるのに、
1時間半ほど早く出勤するだけなのだけれど。
我ながら、涙ぐましい努力ではないか。
午後休とはいえ彼の定時まで特に用事もない。
上がり直前の、後輩からの質問にも丁寧に対処して事務所を出た。
さて、どうしようか。
事務所から少し離れたスタバで時間を潰すことにした。
カフェラテをどれだけゆっくり飲んでも、時間はなかなか過ぎてくれない。
もどかしく彼の定時を待ちながら、「あれから1年」のブログを書いていた。
夕方を過ぎて混雑してきた店内を見渡して、
とりあえずと、いつも待ち合わせする駅に向かうことにして席を立った。
未練がましいな、と苦笑いしていたら。
「おつかれー。」
待ち望んだLINEが鳴った。
続けざまに受信したメッセージは?
「風邪なおりかけなんだよなー」
やっぱり、今日は無理か。
こんな風に、あっけなく終わるのもいい。
予感していたシナリオ通りだから、すらすら返信の言葉を打てた。
「お大事にね。夏風邪は大変だから」
『あれから1年だよ?どうしても逢いたい。めちゃくちゃにして、抱いてよ。』
そんな本音は、どうにも表には出せない。
家に向かう電車のホームの番線を探しながら
ちょこちょこと、やりとりを繰り返す。
そしたら。
「会いたいなー」
スマホの画面に表示された、彼の、この短いメッセージが、破壊力抜群で。
終わりの切欠を、またしても潔く吹き飛ばしてしまう。
逢いたい。逢いたい。
早く、逢いたい。
「風邪っぴきなのに」
攻撃力0の返信をして、躊躇いもなく、いつもの場所に向かった。
《抱き締めると、柔らかくて気持ちいいんだよね。》
何時だったか貰った言葉を思い出しながら、
苦しいくらいに抱きしめてくる腕と、とろとろに溢れて繋がる身体と、
何もかも心地よい空間と、限りある時間と、を
総て一緒くたにして、また考えるのを棚上げして、快楽に溺れた。
契約、とりあえず、更新。