高校選びの時期になると、保護者からよく耳にする言葉がある。

 

「公立高校は大学受験の面倒見が悪い」「私立高校の方が手厚くサポートしてくれる」

果たしてこれは本当なのか。

 

そもそも、なぜ「公立高校は面倒見が悪い」と言われるのか。

 

まずはこの認識が生まれてきた背景を整理する。

 

①「授業以外のサポート体制」に差があることが多い

一般的に私立高校は、補習・小テストの徹底・講習の量・自習室管理・推薦対策・定期的な面談など、授業“以外”のサポートが厚い傾向がある。

 

一方で公立高校は、“授業を中心とした指導”を基本とし、補習・講習・自習室管理などは学校によって大きく差がある。

 

この差が“私立=面倒見がいい”“公立=放任”という印象を作っていると思われる。

 

②教員数と予算の違い

私立は学校が独自に予算を確保し、必要なら外部講師や教材を導入できる。

一方で公立は予算が限られているため、細かい手厚さはどうしても制限される。

 

生徒数に対する教員数・個別指導の頻度・進路指導体制など、これらに差が出やすいため、“サポート力”の違いが噂として広がる。

 

③入試制度の違い(成果に対する学校の立場)

私立高校は、大学合格実績=学校のブランドそのもの。

そのため受験指導は徹底される。

 

一方、公立高校は大学合格実績が学校経営に直結しないため、強制力は弱め。

もちろん力を入れている公立もありますが、制度の性質上“絶対にやらなければならない”ものではない。

 

では、公立高校は本当に面倒見が悪いのか?

 

結論としては、学校によりまちまち。

 

全国的に見ても、東大・京大・医学部に多く合格者を出す公立高校、GMARCH・日東駒専に強い公立高校、国公立志向が強い公立高校、私立並みに講習や補習がある進学校など、公立高校の中にも手厚い学校はかなり多く存在する。

 

逆に、すべての私立が面倒見がいいわけではない。

 

公立と私立の「本質的な違い」としては、

 

◆【公立高校】

文部科学省の指導要領に沿った“授業中心の教育”、生徒の自立を重視、自学力がある子は大きく伸びる、大学進学実績は学校によって差が大きい

→ 自主性・自走力の強い子に向いている。

 

◆【私立高校】

進学実績が生命線、補習・講習・テスト・宿題が徹底している、管理型(定着を強制する)タイプの学校が多い、受験の「ペースメーカー」を学校が担う

→ 管理されることで伸びる子に向いている。

 

こんなところか。

つまり、合う合わないは当然あるということ。

 

学校の種類よりも、実は “この力”を持てるかどうか が結果を決める。

 

【1】“自分で勉強を進める力”

大学受験は範囲があまりにも広く、授業だけで戦うのは不可能。

公立でも私立でも、最終的には “家でどれだけやれるか” が決定的に重要。

 

【2】“学校のサポートを使い倒せる力”

成功する子は、補習に出る、先生に質問する、模試を見直す、自習室に通うなど、“与えられた環境を最大限使う子”。

 

【3】“基礎を徹底して固められる力”

英語・数学・国語の基礎力がある子は、どの高校でも強くなれる。

 

よく言われる話の、「公立は“面倒見が悪い”」はそうではなく、「役割が違う」ということ。

 

私立:管理型、サポート重視

 

公立:自主性重視、授業中心

 

どちらも短所と長所がある。