中学生の多くは、学校という「比較的公平な世界」で生活している。

授業は全員に同じように行われ、テストも一律の基準で採点される。

先生は、どんな生徒にも同じように接しようと努力するし、入試も「公平であること」が前提。

 

しかし、大人になると、この“当たり前”は一気に崩れる。

社会は平等ではない。

むしろ“不平等”で、時に“残酷”。

 

そもそもなぜ社会は不平等なのか。

 

第一に、お金の差・家庭の差がスタートラインを変えてしまうから。

生まれた家が経済的に豊かかどうか、親がどんな仕事をしているか、どんな教育を与えるかなど、こうした「本人に選べない条件」が大きく人生に影響する。

 

これは紛れもなく“不平等”。

 

学校はそこに配慮して教師などは気をつかうが社会はそんなことに気をつかわない。

 

第二に実力主義という名の競争社会。

社会に出ると、“点数”では測れない評価が始まる。

 

コミュニケーションが得意な人が有利、人脈が多い人はチャンスが増える、会社によって出世のスピードが違う、誰かのミスで評価が下がることもあるなど、努力しても報われないことがあえる。

逆に、あまり努力していない人が運良く成功することさえある。

 

第三に資本主義のルールは「強い者が勝つ」。

社会の仕組みは、どうしても「成功した人により多くのリターンが行く」形になっている。

持つ者はより持ち、持たざる者は取り残されていく。

 

上記のように書くと希望がないように見える。

ではどう生きていけばよいか。

 

環境は平等ではない。

だからこそ、「不利な環境でも、自分が動けば変わる部分」に意識を向けることがとても重要。

 

大人の世界では、「親が悪い」「先生が悪い」「社会が悪い」と言い続けている人ほど、何も変わらないし、変えられない。

 

不平等を嘆いても社会は変わらない。

でも、自分の行動は変えられる。

 

これは強さ。

 

学力だけではない。

新しいスキルを覚える力、人の気持ちを理解する力、初めてのことに挑戦する勇気、分からないことを調べる習慣など、こうした“学ぶ習慣”がある人ほど、不平等な世界で生き残る。

 

社会は残酷だが、「学ぶ謙虚な人にはチャンスが増えていく」という、一つだけ揺るぎないルールもある。

 

また、社会に出ると失敗は当たり前。

試験に落ちる、会社に入れない、失敗して怒られる、人間関係でうまくいかない、やりたい仕事が見つからないなど。

 

大切なのは「折れないこと」ではなく「折れても戻ってこれること」。

 

“メンタルの強さ”とは、ダメージを受けないことではなく、ダメージを受けても前を向ける力のこと。

 

そして不平等な社会でも、自分の武器を持っていれば生きやすくなる。

好きなこと、得意なこと、興味があることなどこれらは、将来の仕事につながることがある。

 

そして何より、武器があると自信になる。

自信は人生を進む力になる。

 

短期的には、不誠実な人のほうが得をする場面もある。

でも社会は長期戦。

誠実な人には、人生のどこかで必ず味方ができる。

信頼される、困った時に助けてもらえる、チャンスが回ってくるなど“不平等な世界”で最強の武器は、実は「人からの信頼」。

 

社会は、学生たちが今いる教室よりもずっと複雑で、不平等で、予想外のことがたくさん起こる。

しかし、それでも多くの人が前を向いて毎日を生きている。

 

なぜか?

それは、「自分で選び、自分で動き、自分で未来を作ることができる」と知っているから。

 

誰もが無力ではない。

スタートラインは違っても、走り方は自分で決められる。

そして、自分の行動で人生は確実に変わっていく。

 

不平等や残酷さを知らずに大人になると、挫折したときに立ち直れなくなる。

でも、今この時点で「社会の本質」を知っていれば、こどもたちの人生は確実に強くなる。

 

不平等はなくせない。

理不尽も避けられない。

でも、「どう生きるか」はこどもたちが決めていい。

そして、その子供たちが行動すれば、社会の残酷ささえ乗り越えられる。