NHKが、契約済みにもかかわらず受信料の支払いが滞る世帯や事業者に対し、民事手続きによる**「支払い督促」**を大幅に強化する方針を固めました。未払い件数の急増を受け、強制執行も視野に入れた新体制で「公平負担の徹底」を目指します。
NHKが10月1日付で、新たな専門組織**「受信料特別対策センター」**を設置したことが関係者への取材で分かりました。このセンターは、弁護士や営業職員らが在籍する全国的な民事手続きの専門組織であり、受信料の収納業務にあたる視聴者局内に設けられました。
この新組織設置の背景には、受信契約を結んでいながら1年以上支払っていない**「未収」世帯が近年急増している実態があります。未収件数は、2019年度の約70万件から、2024年度には約170万件**と、わずか5年間で約2.5倍に膨れ上がっています。
NHKは、この未収問題に対処し、受信料を支払っている人との**「公平負担の徹底」**を図るため、強硬策に乗り出します。
その中心となるのが、民事訴訟法を根拠とする**「支払い督促」**の強化です。
支払い督促とは、NHKが簡易裁判所に申し立てを行う民事手続きです。督促を受けた側から異議申し立てがなければ、裁判所の決定に基づき、預貯金や給与の差し押さえなどの「強制執行」が可能となります。もし異議申し立てがあった場合は、通常の民事訴訟に移行します。
これまで、未収者への民事手続きの申立件数は昨年度(2023年度)は125件に留まっていました。しかし、新センターの設置により、NHKは今年度下半期だけでこの件数を昨年度の10倍超にまで拡大する予定です。
NHKは、未払い者への督促を強化し、民事手続きを大幅に増加させることで、支払い回避ができない状況を作り出し、長年にわたる受信料問題の解決に本腰を入れる姿勢を示しました。支払い義務のある人にとっては、今回の新センター設置と督促件数の「10倍超」拡大は、猶予期間の終わりを告げる最終警告となりそうです。