傷痕のメッセージ 知念実希人著 KADOKAWA 2021年3月12日初版発行 上河内図書館所蔵

 

初出 小説野性時代 2020年1月号~5月号、10月号~12月号

 

プロローグで堀医師(開業医)がある患者に頼まれ、内視鏡である処置をする。その後患者は別な病院で病死した。患者は弁護士に自分の死後に必ず解剖して、それをある人物に伝えてほしいと依頼していた。遺族であり病院の医師である千早は父を解剖することを拒否したが、それなら訴訟を起こして裁判所に審議してもらう、そうなると遺体は数ヶ月維持しなければならないと言われ、病理部出向中の自分が立ち会うことを条件に解剖を受け入れる。解剖した結果、胃壁からあるメッセージが読み取れた。その直後。病院に刑事が訪ねてきた。

 

メッセージを手がかりにある場所へ行くと、幼い人間の骨を見つけたが、その場からは逃げ去ったが、場所の関係者により警察に通報され、胃壁のメッセージの相手にその内容が知られることとなった。

 

 

終盤になるにつれて、登場人物が増えていく。

登場人物が比較的少ない著者の他作品とは対照的。

被害者や話題に上がったり名前無しも含めて40人強か。

 

天久鷹央シリーズと共通の世界観だけど、微妙に異なるところも。

 

純正会医科大学附属病院本館 東京都港区神谷町にそびえたつ。

近くに有名な寺院があり、25階病棟から見下ろせる。

(場所的に著者の母校である東京慈恵会医科大学附属病院がモデルのようだ)

 

水城千早(みずきちはや) 外科医だが病理医に出向中。

2年間の初期研修後に純正会医科大学第一外科医局に入り3年間外科医として修行。伝統的に1年間の病理医出向があった。学生時代は空手に明け暮れた。

 

刀弥紫織(とうやしおり) 千早の病理部での指導医。純正会医科大学時代の同期

松本一哲(まつもといってつ) 病理部部長。病理教室教室。かつて紫織の母が病死した際に病理解剖していた。

海老沢教授 外科部

向井陽介(むかいようすけ)  千早より3年先輩の外科医、病理出向経験がある。

小鳥遊  千早の外科での同期。良かれと思って手術した患者に首を吊られて、今年から外科から総合内科医局に移動。

沢井  法医学准教授。医学部時代の同級生。

 

水城穣(みずきみのる) 外科病棟に入院中の千早の父。肝内胆管癌の全身転移により悪液質。向井が主治医。

水城葉子  千早の母。乳がんで死去した。父母は幼馴染で結婚して10年は子どもに恵まれなかった。

 

山路明(やまじあきら) 千早の母方の叔父。10歳近く歳が離れている。

 

野々原正 弁護士。穣が生前にあることを依頼した。

堀医師  初老の開業医。若い頃の過ちをネタに、穣に脅されて、薬を過剰に処方し、胃壁にメッセージを刻んだ。一人娘は結婚し孫が生まれる。

 

八木沼和歌子 八木沼建設副社長(前社長の後妻)、穣が生前警備員として勤務していた会社の役員。九年前に本社ビル竣工に合わせて警備員募集したら、近隣で警備員をしていた穣が応募してきたとのこと。折り紙殺人事件の少し前にある事件に巻き込まれて穣に助けられた恩を感じ採用した

米原 生前の稔の同僚警備員。スキンヘッドで恰幅の良い。

萩本 生前の穣の同僚警備員。茶髪の若い男性。穣に世話になっていた。

 

立花芳樹  立花材木の現社長。元小学校教師で先代が他界したので社長を継いだ。

立花浩一郎 立花材木の先代社長 40年前に創業、30年前に経営危機に見舞われ八木沼建設から融資を受けて立ち直った。昔は工場内で子供向けにそろばんや手芸の教室をしていた。

関 立花材木の工場長

 

 

桜井公康  警視庁捜査一課刑事(警部補)。茶色いコートを着用した50ぐらい、カールした頭髪。

28年前は向島警察署の刑事で、捜査一課の穣に刑事のイロハをたたきこまれたという。のんびりのほほんとした感じ。

 

刑事時代の穣  鬼刑事で通っていた。折り紙殺人事件の捜査本部解散時にその後も継続操作する専従班を希望したが、優秀な刑事であったので、それは拒否されたので、警察をやめた。

 

『折り紙殺人事件』28年前の春に発生。墨田区曳舟在住の戸田花恵(とだはなえ、5歳)が遊びに出たまま行方不明に。その後近隣住民が墨田川の河川敷で遺体発見。衣服のポケットなどに折り紙があった。3週間後に亀戸に住む小1女子児童が下校途中に行方不明に、翌日近くの神社で絞殺体で発見。遺体のそばなどに折り紙があった。2週間後に第3の事件。浅草に住む4歳の女児が昼間に家から連れ去られ、夜に近所の廃屋で絞殺体で発見。その3週間後に、墨田区八広で5歳の子がさらわれ、荒川河川敷で遺体を発見。翌週に錦糸町のショッピングセンター駐車場から1歳になったばかりの陣内桜子(じんないさくらこ)が誘拐された。両親は子どもを車に残して「パチンコ」をしていた。母親が事件から五年後に自殺、遺体は発見されてなかったが。。。

被害女児をさらった場所に折り鶴を残し、第二の事件ではそれに千羽鶴と書かれていたことから、犯人は「千羽鶴」と呼ばれた。

 

戸田花恵の父親  サラ金業者で、執拗な取立てを行っていた。

陣内晋太郎 陣内桜子の父親、存命している。五四歳だが見た目より老けている。生活保護受給者。

 

北野聡美 今回の被害者。葛飾区京成立岩駅から15分ほどの廃屋。この廃屋に遊びに来た近所の小学生が遺体発見。→葛飾署で捜査本部がたった。

住谷奈央、二七歳、三日前の会社の飲み会からの帰りに行方不明になり昨日犬の散歩の人が雑木林で発見。

 

葛飾署捜査本部

地取り三組 小林、篠原。鑑一組 野島、酒井。特命四組 桜井、港(二〇代半ばの青年)。

警視庁捜査一課課長 左近勝(さこんまさる) 水城穣と同時期に捜査一課にいた。

警視庁捜査一課殺人犯捜査第七係長 柳田

警視庁捜査一課殺人犯第七係担当管理官 有賀

葛飾署刑事課課長 牧本

 

このうち、左近、有賀、馬場が二八年前の捜査に加わっていた。

 

湊光基(みなとこうき) 今回、桜井とペアを組む葛飾署の若手刑事。二五歳、

馬場  桜井より年下だが昔気質の刑事。

 

井ノ原 元向島警察署の刑事。「折り紙殺人事件」のスペシャリスト