死刑と無期懲役 坂本敏夫著 ちくま新書 2010年2月10日 第1刷発行 宇都宮市立図書館姿川生涯学習センター図書室所蔵

 

地区イベントで姿川生涯学習センターに行った時、空き時間で図書棚見て手にとって見た。

著者は刑務官などを歴任し、退官後は「相棒」や「踊る大走査線」の監修などもしている。

 

Wikipediaによれば、熊本県出身で広島の高校を卒業、法政大学中退後に刑務官という経歴であって、父も祖父も刑務官なので、父の転勤によって各地を転々とした模様。

 

現在は東京都立川市在住。

黒羽刑務所の課長として菅家さんと対面したという程度で、あまり宇都宮とは縁がないけど、姿川生涯学習センター図書室で置かれているのは郷土資料コーナーなんだよね、どういう関係なんだろう?

※同じ棚には、著者の別な著作もおかれていて、こちらも以前に読んだ。

 

死刑執行

 著者が保安課長として最初に刑を執行のときは、午前中の間に二人を執行するため、一人目(A)を強引に物事を進めようとした結果、舎房でAが暴れて、舎房内が大騒動になったが、ベテラン警備係長の野村(仮名)が出向くと騒動は収まった。しかしAは大勢の刑務官を見て座り込んで気を失ってしまった。4人の刑務官で担いで刑場へ連れて行ったが、刑場についても目を覚まさす、やむなく著者が手動で床を開くレバーを操作し執行した。

 

 二人目(B:50歳の連続強盗強姦殺人、妻は最後まで離婚せず、Bもこれに苦しんだ)の連れ出しは野村に任せたところ、「B・・・、残念だがお別れだ」の一言とBの「品物整理させてください」という申し出を承諾したので、舎房は静寂につつまれ、Bが用意していた服装に着替えて舎房から廊下へ至るまでも、Bは他の房の死刑囚と挨拶を交わしつつ廊下へ進み、、刑場でもマニュアル通りに執行までスムーズに処理できた。

 

 前日の執行準備中に、野村より、執行の順番を逆にできないかと提案されたが、上からの指示なのでそれはできなかった。逆にしていれば、Bがスムーズに執行されたのを見届けているので、似たような罪で死刑となったAもBには負けない気持ちで執行に挑み、スムーズにできた可能性があったとのこと。

 

 著者は、死刑制度は有ってもいいと思う、しかし(犯罪者に対する)見せしめ的や厄介者的な死刑執行には反対だと、本のあとがき(2009年12月時点)では書いている。Wikipediaでは、2011年(本の発行の次の年)に、前年に東京拘置所の刑場がマスコミに公開されたのを見て、死刑廃止を表明したとある。

 

 

 

 再審無罪となった菅家さんとは、菅家さんが逮捕起訴されて被告人として収容されていた黒羽刑務所宇都宮拘置支所にて、当時黒羽刑務所の会計課長として1992年4月から1993年3月まで勤務していたので、支所の監査や指導で同支所に出向き、視察していた。93年2月に異動の内示が出た後に言葉をかけたら、返事は聞き取れなかったが涙を流したという。

 

後半は冤罪について記述

 有名な死刑囚の事件とか、いわゆる発達障害系で人の云うことを信じてしまうなど。足利事件のように警察が決めつけたまま強引に自白を得たとか。警察官の方から自白を誘導されれ、裁判で争えばと言われたが、覆らずにそのまま刑務所送りとなった受刑者と会ってきたと。

 名古屋刑務所保護房死傷事件の真相。所長は特捜部と協力して、無実となる証拠品を焼却処分していた。

 

死刑囚と被告の奇妙な関係

死刑囚Kの懺悔文と同時期に、被告人Sがかつてお世話になった拘置所職員との面会の相談を持ちかけられた。

Kの懺悔文とSの裁判傍聴から、Sが過去Kにレイプされてていて、今回の事件の引き金になったのではと著者が考え、Kに上申書を書かせた。

Sはレイプで妊娠して、その後出産していた。一度目は子供の罪の身代わりに出頭して執行猶予に、その後結婚したが相手からのDVに耐えきれなくなって殺して今回被告人となっていた。