コンピュータを使って数値計算をする、電子回路を作成する、あるいは、複雑な実験を行うことが「研究」というイメージを持っていませんか?実は、これらは「細かいこと」にすぎません。いわば「ツール」です。できるのは当たり前のことです。非常に上手になっても、高く評価されることは少ないです。

研究者に求められているのは、数値計算や回路の作成といったスキルではありません。数式を弄っているだけでは理論研究にはなりません。もっと大事なものがあります。

詳細なことより、「全体のストーリー」を考えることの方がもっと大事です。

もちろん、「詳細」がわからないと、「全体」のことを考えられるわけがありませんから、スキルをマスターすることも大事です。しかし、ツールを使いこなせることが研究の目的ではありません。このことを勘違いしている学生が多いようです。

研究者が研究成果を出すときに、ほとんどの場合は、その「インパクト」と「オリジナリティ」で評価されます。「全体のストーリー」を持っているかいないかで評価が大きく違ってきます。ストーリーが良いと、優れた人が集まり、資金も集まります。一つの「研究の流れ」を形成することになります。

ストーリーを考え出すのは簡単なことではありません。まずは、勤勉に情報収集をしなければなりません。たくさんの論文を読むのはもちろんのこと、関連分野の雑誌を読むことも大切です。分野全体の研究の流れをつかんで、「時代の風」を感じる必要があります。今の時代では、どんな研究が必要とされているのか、どんな研究が社会に大きなインパクトを与えるのか、常に頭の中に考えて、「全体のストーリー」を構成していくのです。「時代遅れ」なことをやると、すぐに淘汰されることは言うまでもありません。