極低温では、多粒子系の振る舞いは粒子の「量子統計性(quantum statistics)」に左右されます。「量子統計性」とは何でしょうか?

量子力学では、「同種粒子は区別できない」という考え方があります。例えば、二つの電子があると、我々はよく、これは「電子1」、それは「電子2」とラベルしたくなります。しかし、二つの電子の状態は、一つの波動関数で記述されるので、ラベルを交換しても、量子力学的には同一状態だと考えないといけません。

つまり、二つの電子の波動関数をψ(1,2)だとし、「1」と「2」は人間がつけたラベルだとすると、ラベルを交換する演算子、P、を施してψ(2,1)を作ったときに、それは、ψ(1,2)と同一状態でないといけないことです。ただし、量子力学では、波動関数の位相が違っても同じ状態なので、一般的に位相の違いを許し、このことを

ψ(2,1) = Pψ(1,2) = cψ(1,2)

と表現できます。cは位相項です。

「交換を二回」施せば、「何もやらなかった」とまったく同じなので、もとの状態にならなければなりません。つまり、すでに一回交換を施したψ(2,1)にもう一回交換を施すと、

Pψ(2,1) = c^2 ψ(1,2) = ψ(1,2)

になることが要求されます。c^2 = 1であることがわかります。だったら、c = ±1 のはずです。

実際に、粒子は二種類あります。

ラベルの交換で、位相に変化がないもの、つまり、c = 1 の粒子は「ボーズ粒子(Bose particle)」あるいは「ボーゾン(Boson)」です。

ラベルの交換で、位相が180度変化するもの、つまり、c = -1 の粒子は「フェルミ粒子(Fermi particle)」あるいは「フェルミオン(Fermion)」です。

世の中の粒子はこの二種類のどちらかに属します。ボーズ粒子とフェルミ粒子の量子統計性の違いを次回に見てみます。