量子が理解できない理由の二つ目は、「確率の現れ方」です。物理系を観測したら、「固有値のどれかが(ある確率分布に従って)選ばれる」、ということはとてもわかりにくいです。観測も物理過程なので、なぜ「固有値が選ばれる」という数学的な概念(操作)を用いなければならないのか、難しい問題です。
もう少し具体的に言えば、物理系の「位置」が確定している場合、つまり、我々がその値を知っている場合には、運動量を測定したら、観測値が(ある確率分布に従って)「ランダムに選ばれる」ことになります。これをどう理解すればいいですか?
次のようなアナロジーを考えてみましょう。あるアンケート調査に以下のような回答があります。
①「私は6月16日に上野公園に行きます。」
②「私は週一回上野公園に行きます。」
①は「位置的」情報です。②は「運動量的」情報です。片方だけではダメですが、両方とも知っていれば、「私の力学状態」がわかるのです。なぜなら、「私」が将来のいつまた上野公園にいくかを完璧に予測できるからです。これは、「力学状態」を知ることになります。
しかし、①を言っている人を一万人集めて、「運動量」について聞くと、答えはバラバラのはずです。週一回と答える人もいれば、月に一回と答える人もいます。同じ「位置」と答えた人を集めたのに、なぜか彼らの「運動量」が「ランダムに選ばれる」のようです。(当たり前のことですが…言い方によっておかしく感じますね。)
逆も同じです。②を言っている人を一万人集めて、「位置」について聞くと、今度は、「位置」が「ランダムに選ばれる」ようです。皆は「週一回」と確定した答えをくれたのに、なぜか6月16日と答える人もいれば、7月2日と答える人もいて、皆バラバラです。(不思議なことではないのに…不思議に思ってしまいます。)
もちろん、一人一人はちゃんと、自分の位置と運動量を知っているはずです。
ならば、「週一回上野公園に行きます。」と言っている人のうち、「6月16日に上野公園に行きます。」と言う人を選んで集めるのはいかがですか?
人間なら、可能ですが、量子系(量子界の人間?)ではそのようなことができません。それは、測る操作自体が情報を消しているからです。つまり、アンケート調査自体に問題があるのです。
「週一回上野公園に行きます」と言った人のうち、「6月16日に上野公園に行きます。」と言う人を選ぶ時に、彼らが「週一回上野公園に行きます」という情報を「物理的に」消すことになります。逆も同様です。言い換えると、「6月16日に、かつ、週一回上野公園に行く」人を集めることが(原理的に)許されないのです。どれか一方の情報を知れば、もう一方の情報が必ず消されて、二回目の質問の答えが「ランダム」になるのです。だから、「アンケート調査」では、量子系(量子界の人間)の「完全な力学情報」を得ることができません。
本質はここにあると思います。量子系と古典系のこの違いは量子を理解する鍵になるかもしれません。この概念をどう数学的に表わして、発展していくかはまだ模索中です。
もう少し具体的に言えば、物理系の「位置」が確定している場合、つまり、我々がその値を知っている場合には、運動量を測定したら、観測値が(ある確率分布に従って)「ランダムに選ばれる」ことになります。これをどう理解すればいいですか?
次のようなアナロジーを考えてみましょう。あるアンケート調査に以下のような回答があります。
①「私は6月16日に上野公園に行きます。」
②「私は週一回上野公園に行きます。」
①は「位置的」情報です。②は「運動量的」情報です。片方だけではダメですが、両方とも知っていれば、「私の力学状態」がわかるのです。なぜなら、「私」が将来のいつまた上野公園にいくかを完璧に予測できるからです。これは、「力学状態」を知ることになります。
しかし、①を言っている人を一万人集めて、「運動量」について聞くと、答えはバラバラのはずです。週一回と答える人もいれば、月に一回と答える人もいます。同じ「位置」と答えた人を集めたのに、なぜか彼らの「運動量」が「ランダムに選ばれる」のようです。(当たり前のことですが…言い方によっておかしく感じますね。)
逆も同じです。②を言っている人を一万人集めて、「位置」について聞くと、今度は、「位置」が「ランダムに選ばれる」ようです。皆は「週一回」と確定した答えをくれたのに、なぜか6月16日と答える人もいれば、7月2日と答える人もいて、皆バラバラです。(不思議なことではないのに…不思議に思ってしまいます。)
もちろん、一人一人はちゃんと、自分の位置と運動量を知っているはずです。
ならば、「週一回上野公園に行きます。」と言っている人のうち、「6月16日に上野公園に行きます。」と言う人を選んで集めるのはいかがですか?
人間なら、可能ですが、量子系(量子界の人間?)ではそのようなことができません。それは、測る操作自体が情報を消しているからです。つまり、アンケート調査自体に問題があるのです。
「週一回上野公園に行きます」と言った人のうち、「6月16日に上野公園に行きます。」と言う人を選ぶ時に、彼らが「週一回上野公園に行きます」という情報を「物理的に」消すことになります。逆も同様です。言い換えると、「6月16日に、かつ、週一回上野公園に行く」人を集めることが(原理的に)許されないのです。どれか一方の情報を知れば、もう一方の情報が必ず消されて、二回目の質問の答えが「ランダム」になるのです。だから、「アンケート調査」では、量子系(量子界の人間)の「完全な力学情報」を得ることができません。
本質はここにあると思います。量子系と古典系のこの違いは量子を理解する鍵になるかもしれません。この概念をどう数学的に表わして、発展していくかはまだ模索中です。