「量子力学が理解できない…」と思ったことがありますか?量子力学の教科書あるいは解説書を手にしたことのある方なら、少なく一度は「理解できない…」と実感したはずです。それは、正常です。有名な物理学者J. A. Wheeler先生でさえ、「Why Quantum?」と問い続けていました(ところで、Wheeler先生が先週、96歳で亡くなりました。残念です)。「量子力学はバカバカしい(Crazy)!」と言った科学者は何人もいるらしいです。

量子力学の不思議さを「公理」として受け入れてしまえば、量子力学を「理解する」ことができます。これで満足したら、話は非常に簡単です。つまり、「自然はこのようになっているから、なぜと聞きたいのなら、神様に聞いてくれ」という立場です。量子力学を「使う」人にとっては便利な立場ですが(悩むことなく仕事できるから)、哲学的な思考が止まってしまうので、個人的にはあまり好きではありません。物理における哲学的な部分も大切だと思っているからです。

さて、本題に入ります。僕は、「なぜ量子が理解できないのか?」に興味があります。「どうすれば理解できるようになるの?」と皆さんに聞きたいです。具体的「理解できない理由」を言わないと、問題の解決ができないからです。ただし、「全部」理解できないと言われても困ります。できれば、「理解できない」の本質的な部分を抽出して欲しいです。

自分の考えでは、「量子が理解できない理由」は多分、二つあると思います。後でまた出てくるかもしれませんが、今の頭の中には二つです。今日はその一つについて少し話します。

一言でいえば、「古典の記述から量子の記述への道」がわからないことです。

古典系のHamiltonianの位置qと運動量pを演算子に「置き換える」という操作の意味が不明です。しかも、置き換えた後に、系はSchrodinger方程式に従って変化するという全く意味のわからない過程があります。公理、また公理です。全然わかりません。

では、どうすれば、理解できるのですか?これが重要です。

普通に考えれば、古典系は古典的な記述でよいです。そして、系の規模をある程度小さくしても、まだ古典的な記述は大丈夫のはずです。しかし、さらに系を小さくしていくと、古典的な記述を量子的な記述に「切り替える」必要が出てくるのです。この「切り替え」はいつ、どのように行われるかを解明すればよいと思います。現在では、このプロセスは解明されていませんから、演算子に「置き換え」という数学操作は理解できないと考えています。

逆のプロセスは問題になりません。量子系のサイズが大きくなると、プランク定数は非常に小さいため、ゼロと近似できるので、系は古典的に振舞うのことです(演算子は次第に可換になるから)。これはよく理解できます。