
量子光学の分野に有名な「Hong-Ou-Mandel干渉」があります。これは、1987年に著者とHongとMandelの三人によって発見されたニ光子干渉の現象のことです。この本の前半は主に二光子干渉を対象にしています。パラメトリック下方変換による光子対の発生の理論とHong-Ou-Mandel干渉の解析が載っています。それから、位相に依存すると依存しないニ光子干渉に関する詳しい説明もあります。後半は二つ以上の光子の干渉を対象にしてます。非常に専門性の高い内容です。量子テレポーテーションともつれ光子交換の理論解析もあります。
原論文の引用はちゃんとしています。個々の現象の説明に入る前に、誰がいつ何を考案したかという歴史的なことも書いてあります。読むと「多光子量子干渉」という分野の20年間の研究の流れを大体つかむことができます。最近では、量子情報の実験に多光子量子干渉がたくさん使われています。僕もこの類の実験をやっています。個人的に、この本の出版は非常にタイムリーだと思っています。20年間の基礎研究を経って、「多光子量子干渉」はもうそろそろアプリケーションの領域に入るのではないかと思います。ですから、この本はその「入り口」を示してくれる役割をもつと言えるでしょう。実験屋にとってうれしい一冊です。