IT技術の革新により、我々の生活が著しく変わってきました。言うまでもなく、半導体、レーザ、光ファイバ、それにコンピュータの発明によるところが大きいです。しかし、半導体、レーザ、光ファイバといった「もの」だけあれば、ITが今日のように我々の生活に役立てるというわけではありません。

実は、物理的(物質的)な大発見とともに、「情報的」な大発見もあったからです。情報的な大発見がなかったら、情報社会はほとんど不可能だろうと思います。「情報的」な大発見を3つ挙げるなら、以下の3つでしょう。

大発見1.Shannonの情報理論
1948年にShannon(シャノン)が情報の量を定義し、情報(音声、画像、何でも良い)を0と1の列で表わせることを示しました。つまり、Shannonは、「デジタル」という概念を発明したのです。この発見のおかげで、情報を定量的に扱えて、エラー訂正や情報圧縮という新しい技術も可能になりました。

大発見2.Nyquist-ShannonのSampling(サンプリング)定理
何か連続的な信号、例えば音声信号をデジタル化するときに、サンプリングが必要です。連続な信号だから、細かくサンプリングしなければならないでしょうと思われます。しかし、Sampling(サンプリング)定理によれば、信号の帯域がB Hzならば、1/2B の時間間隔でサンプリングすれば、もとの連続信号をひずみなく復元できます。驚くべきなことに、この時間間隔以上細かくサンプリングする必要はありません。(ただし、量子化雑音はあります。)

大発見3.Cooley-TukeyのFFT(高速フーリエ変換)アルゴリズム
情報処理のためにフーリエ変換が欠かせません。普通で離散フーリエ変換(DFT)をやると、所要のステップ数はn^2です。このFFTアルゴリズムを使えば、所要のステップ数がnlog(n)まで減ります。これはうれしいことです。例えば、n = 1000の場合、本来百万ステップの計算が数千ステップで済むからです。

簡単にまとめますと、Shannonが「デジタル」という概念を発明して、現代IT技術の親です。Sampling定理は現実世界とデジタル世界の渡り橋で、FFTアルゴリズムは信号処理の必要時間を実用レベルまで持ってきたのです。この3つの発見がなければ、我々の社会はどうなっているでしょう…