榊裕之教授が研究のオリジナリティについて語った文章を読んで、とても感銘を受けました。

<研究のオリジナリティについて>

「学術・技術・芸術のいずれをとっても、先達が築いた蓄積や伝統を礎にしており、来たるべき時代に向けて新たな試みが進めることによって、その前線が切り拓かれてゆくものです。従って、まずその時代が研究者に提供している可能性(seeds)と時代が求めている必要性(needs)とを感じ取り、その上で自分が取り組むべき課題を設定することが大切です。そうした課題は、すぐに見つかるものではありません。様々な書物や事物や人と人との出会いを通じて、小さな試みが開始され、それが徐々に膨らんで、本当に打ち込むべき目標が見えてくるものでしょう。こうした努力の継続から、研究者の独自のスタイルが生まれます。これを大切にしたいものです。」

「研究者が対象とする課題に本気で継続的に取り組むと、ある種の緊張が蓄積されます。この緊張が十分に高まると、他者からのヒントや研究対象が示す思いがけない事実が契機となって、ある種のひらめきが生まれます。そうしたひらめきの中にはその後の発展の貴重な種が含まれている場合が少なくありません。ただし、この種子を発芽させ、成長させるには、忍耐強い研鑽が必要です。「研鑽とひらめきを繰り返して目標に近づく努力を続けること」、これが「究める楽しみ」や「創るよろこび」を味わうための必要条件でしょう。」