量子力学における「観測問題」の簡易版です。
人間が直接にミクロ系の量子状態を観測することができません。一般に、量子状態と何らかのマクロ系の状態との間に相関を持たせて、そしてマクロ系の巨視的な状態を観測することによって、ミクロ系の量子状態を知るという手段をとらざるをえません。例えば、光子の偏光状態を知るために、横偏光を通す偏光子と光子検出器を用意して測定を行います。検出器がクリックしたら、光子の偏光が横であることがわかり、検出器がクリックしなかったら、光子の偏光が垂直であることがわかります。このように、相関を作ることができます。つまり、光子の偏光状態と光子検出器の状態がもつれた状態になるのです。
任意の偏光状態をa|0>+b|1>とします。検出器の初期状態を|E>としましょう。クリックした検出器の状態を|E0>とし、クリックしなかった検出器の状態を|E1>とします。すると、やってくる光子と検出器の初期状態は一緒にして(a|0>+b|1>)|E>と書けます。
測定を行って、相関を持つ状態は|s>=a|0>|E0>+b|1>|E1>になります。これがもつれた状態です。系全体の密度演算子は
ρ=|s><s|
ρ=(a|0>|E0>+b|1>|E1>)(a^*<0|<E0|+b^*<1|<E1|)
ρ=|a|^2|0,E0><0,E0|+ab^*|0,E0><1,E1|+ba^*|1,E1><0,E0|+|b|^2|1,E1><1,E1|
と書けます。
測定が終了した時点で光子が消滅したので、人間は検出器の状態だけを見ることになります。これは、光子の自由度を「trace-out」する数学操作に相当します。結果的に、(還元)密度演算子は|a|^2|E0><E0|+|b|^2|E1><E1|になります。対角成分しかありません。これは光子検出器の状態が「混合状態」であることを意味します。我々は巨視状態であるE0あるいはE1をしか観測できません。それぞれが観測される確率は
Prob(E0)=|a|^2
Prob(E1)=|b|^2
で与えられます。
このように、人間が量子状態を観測するときに、重ね合わせ状態を見れるはずがなく、巨視状態のどれかを見ているのです。見る前にどの巨視状態になるかはわかりません。量子力学の範囲内では、確率しか定まらないのですから、この「どれか」を決めるプロセスがいわば「観測問題」の本質だと考えても良いと思います。
三十年代にSchrodingerが猫の話を持ち出したのも、以上のことを言いたかっただけだと思います。つまり、Schrodingerは、生きている猫か死んている猫か(何でもいいですが)の「どれか」を決めるプロセスはまだ解決されていないと指摘しただけです。
観測問題のもう少し進んだ話は時間があるときに考えましょう。
人間が直接にミクロ系の量子状態を観測することができません。一般に、量子状態と何らかのマクロ系の状態との間に相関を持たせて、そしてマクロ系の巨視的な状態を観測することによって、ミクロ系の量子状態を知るという手段をとらざるをえません。例えば、光子の偏光状態を知るために、横偏光を通す偏光子と光子検出器を用意して測定を行います。検出器がクリックしたら、光子の偏光が横であることがわかり、検出器がクリックしなかったら、光子の偏光が垂直であることがわかります。このように、相関を作ることができます。つまり、光子の偏光状態と光子検出器の状態がもつれた状態になるのです。
任意の偏光状態をa|0>+b|1>とします。検出器の初期状態を|E>としましょう。クリックした検出器の状態を|E0>とし、クリックしなかった検出器の状態を|E1>とします。すると、やってくる光子と検出器の初期状態は一緒にして(a|0>+b|1>)|E>と書けます。
測定を行って、相関を持つ状態は|s>=a|0>|E0>+b|1>|E1>になります。これがもつれた状態です。系全体の密度演算子は
ρ=|s><s|
ρ=(a|0>|E0>+b|1>|E1>)(a^*<0|<E0|+b^*<1|<E1|)
ρ=|a|^2|0,E0><0,E0|+ab^*|0,E0><1,E1|+ba^*|1,E1><0,E0|+|b|^2|1,E1><1,E1|
と書けます。
測定が終了した時点で光子が消滅したので、人間は検出器の状態だけを見ることになります。これは、光子の自由度を「trace-out」する数学操作に相当します。結果的に、(還元)密度演算子は|a|^2|E0><E0|+|b|^2|E1><E1|になります。対角成分しかありません。これは光子検出器の状態が「混合状態」であることを意味します。我々は巨視状態であるE0あるいはE1をしか観測できません。それぞれが観測される確率は
Prob(E0)=|a|^2
Prob(E1)=|b|^2
で与えられます。
このように、人間が量子状態を観測するときに、重ね合わせ状態を見れるはずがなく、巨視状態のどれかを見ているのです。見る前にどの巨視状態になるかはわかりません。量子力学の範囲内では、確率しか定まらないのですから、この「どれか」を決めるプロセスがいわば「観測問題」の本質だと考えても良いと思います。
三十年代にSchrodingerが猫の話を持ち出したのも、以上のことを言いたかっただけだと思います。つまり、Schrodingerは、生きている猫か死んている猫か(何でもいいですが)の「どれか」を決めるプロセスはまだ解決されていないと指摘しただけです。
観測問題のもう少し進んだ話は時間があるときに考えましょう。