彼はそんな僕の不束な感情をよそに、話を進めた。

「彼らの言葉を借りるなら、”20年間そこで悲しみを負って”暮らしているんだそうだ」
「僕は三日滞在して、彼らと色々話した」
「実に親切な家族でね、寝床はもちろん食事や洗濯までしてくれたんだ」
「彼らはお父さんとお母さんと・・・」

僕は彼の話を耳に入れながらも、頭に入れてはいなかった。胸の中で何かが動き出している。体中の血管から大量の血液が心臓に向かって流れている。何だ、何なんだこのうずきは。

「・・・だったんだ」
「そしてね、そのお嬢さんてのがとてもかわいくてね」

「ちょ、ちょっと待って!」
僕はとうとう堪えきれずに彼の話を遮ってしまった。


「どうしたの?」
彼はびっくりして目を丸くした。そしてたまっていた息を鼻から一気に吐き出した。


僕は白い煙に包まれながら、引っかかっていた1つのことを口に出した。
「ねえ、そのお嬢さんだけど、もしかして目が青かった?」

「え?」
しまった、煙だ。この煙のせいで彼の耳には届いていないようだ。

僕は深呼吸をした。今では疑念は1つの希望的確信に変わっていた。
「そのお嬢さん、青い目をしていたね?」

「え、そうだったかなー、あ、そうだそうだ、うん確かにそうだよ」
「でも、なんで?」
「なんでそんなこと・・・」

「それ、その山はどこ?ねえ、教えてくれないかな」

「ちょっと待ってよ」
「話が急すぎやしないかい?」

「いや、僕には分かる、なんでそこが暗いのかが」

(to be continued)