一方、1950年頃からミュゼット自体にも次々とスターとして、アコーディオン奏者が活躍しています。
《スタイル・ミュゼット》の作曲者アンドレ・ヴェルシュラン。
400曲以上も作曲したエマーブル・プリュシャール。
女流アコーディオニストのイヴェット・オルネ。
ミュゼットの真髄を保ちながらジャズと融合させた巨匠マルセル・アゾラなど。
この頃のアコーディオン・プレイヤーには枚挙にいといません。
バスチーユにあるバル「バラジョー」で演奏するジョ・プリヴァ*1)
彼らはバルから飛び出し、当時普及してきたテレビやラジオ、そしてSP盤に代わるLPレコードといったメディアの発達によって、活躍の場を広げてゆきます。
日本人がアコーディオンを聞いて、いかにも「フランスっぽい~!」な音色は、ほぼこの時代までで確立されます。
しかしながら、1960年代にはフランスにもイギリスからのロックの波。
そしてアメリカ文化に押し寄せられ、ミュゼットの興隆に陰りが生じてきます。
ダニエル・コランは「この時代にはアコーディオニストいなくなった。私しか弾いていなかった。」と後年語ります*2)。
もちろんそんな事はないのでしょうが。
聴衆の年齢層も徐々に上がっていき、アコーディオンの音を古くさいと思う若い世代のミュゼット離れが起きてきます。
そんななか、アコーディオニスト達はロックやジャズなど、次の新しい試みへと模索し始めます。
次にミュゼットが注目を集め始めるには、1980年代を待たなければなりません。
世界的にもアコースティック・ギターなど楽器本来のサウンドや、民族音楽などへ関心が向けられるようになる時期でもあります。
当時若手のリシャール・ガリアーノ。
1970年代はロックの可能性を追及し、電子音での試みを見せていましたが、1983年渡仏していたアストル・ピアソラに出会い「その音楽に触れたとたん,私は楽器のプラグを抜いた」と語っています*3)。
また、かつて表舞台で活躍していたダニエル・コランやジョエ・ロッシ、ジョ・プリヴァ,マルセル・アゾラ等々が次々とアルバムをリリースしていきます。
21世紀に入ってからは、その賑わいも落ち着きますが、ミュゼットも一ジャンルとして確立し、フランスではガリアーノを筆頭に次の展開を見せています。
ミュゼットやマヌーシュを経てジャズの世界で活躍する、優れたヴィルトゥオーゾのリュドヴィク・ベィエ(Ludvic Beier)。フレデリック・デシャンの1番弟子ジェローム・リシャール。
ファドやジャズの影響が混じり合いドラマやドキュメンタリー番組、映画の音楽数多く手がけるマルク・ベルトゥミユ(Marc Berthoumieux)など、表舞台で活躍しています。
またさらに若い世代でも、日本にも度々来日しているル・バルーシュ・ドゥ・ラ・ソグルニュ(Le Balluche de la SAUGRENUE)はミュゼットを土台にジャズ・レゲエ・ダブなど様々なジャンルの要素を取り込み、アングラな雰囲気を持ちながらも独特のサウンドを聞かせてくれます。
その他、ジョゼフ・コロンボやギュス・ヴィズ-ル。
ウィリー・スタケット(Willy Staquet)ら往年のナンバーをさらに洗練させたミュゼットスウィングを聞かせてくれるバンド"Toupie Jazz Musette"。
ナント出身でフランスやベルギーと各地で演奏するミュゼット・トリオ"Swing of France"など。
これからの展開が期待されます。
*1)Krumm,Philippe "L'accordéon - quelle histoire ! "I(ed.Mathilde Kressmann,France,2012) 112p.
*2)ビデオ『パリ・ミュゼット2-新しい息吹-』(GPS GX-8)
*3)Galliano,Richard "Interviews réalisés par Frank Cassenti" dans DVD'Piazzolla forever en Concert' (Sony BMG music entertainment France [distrib.], [DL 2006])
参考文献
・Billard,Francois Roussin,Didier "Histoire de l'accordéon"(ed.Climats,Framce,1991)
・Faugeras, Laurent "Accordéons : De la Java au Jazz"(ed.Du May,France,2008)
・渡辺 芳也『パリ・ミュゼット物語』(春秋社,1994)







































