ひだまり 6 (いろえんぴつ) | すけっちぶっくのまど

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風、香るいろえんぴつ画 〜
すけっちぶっくを開くと風が吹き抜ける〜



ある日 くまちゃん は

耳をすまし

そっと

おばぁちゃんを見ていた




おばぁちゃんは 

背中をまるめ

何かを口ずさみ♪

楽しそうにゆれている



〜ふ〜ん♪〜ん〜♩〜〜

たぁ〜いむ♩お〜びょ〜〜♩らぁ〜〜いふ〜♩



?

?

?




くまちゃんは

気になって

気になって

のぞきこんだ




「 あら、やだ、、、。

くまちゃん  おったんか 」




一枚のレコードアルバムを手にし

はずかしそうに

おばぁちゃんは

ぽっと 赤くなった




「 くまちゃん これはねぇ

ばぁちゃんの心のアルバム 」




「 まぁるい黒い板にね

ちっちゃな針がすべるように 走ると

歌といっしょに

いろんなことが

むねいっぱいに

よみがえるんだよ 」




おばぁちゃんは また口ずさんだ♪


♪〜〜♪きみが〜〜♪じんせ〜〜いのぉ〜とき〜〜♩




くまちゃん は

何のことかわからず

目をパチクリさせた


おばぁちゃんは 楽しそうに笑った

「 おかしいかねぇー くまちゃん  」




「 ばぁちゃんもね

むかしから ばぁちゃんじゃなかったんだよ 」




「 ちっちゃな 子どものころも

はずかしがりやの 娘のころもあったんだよ 」




「 歌は ふしぎだねぇ

どんなに時がすぎても

あん時の 心のままに

連れていってくれる 」



「 木々の葉をゆらす風も

すんだ川を流れる光も

海が波の音と いっしょに運んでくる

潮のにおいも、、、、

そこに感じられる


今もね、ばぁちゃんの心は

おどるんだよ、、、  」 




「 いつのまにか

こんなに しわくちゃになっちゃったけどねぇ、、」


くまちゃん のクリン!とした目にうつる

おばぁちゃんは

子どものように笑っている




くまちゃんは おばぁちゃんの

節くれだった手を

そっと にぎった




「 ありがとう

くまちゃん

ばぁちゃんの シワのかずは

たっくさんの幸せのかずさぁ 」





サワサワサワ、、、、、



おばぁちゃんと くまちゃんの ほほを

風がなでた




「 ほら、くまちゃん

あん時とおなじ風が

またふいたよ 」




「 うれしかったことも

かなしかったことも

出会いも 別れも

想い出は

歌といっしょに

やさしくつつまれ

流れてくる 、、、」





まだ青い稲穂が

おじぎをしながら

ゆれている





どこかで



蝉が


 

鳴きはじめた
























ひだまり 6
















enpitunoiro





















ある晴れた夏の日の午後



風が
青い稲の穂を撫で抜けてく畦道
静寂
蝉の声
自分の吐く息  足音
真上から照りつける八月の太陽
鋭い刃で切り取った影を踏みながら
額から背中から流れ落ちる汗
視線の向こうは陽炎

写真の中の君
無邪気に笑ってる浜辺で
この時 君  二十歳過ぎで
あどけさの中に
強い心秘めている
生命の輝き
ほとばしる瞬間を捉えたのは このオレ
名付けようも無い感情で

つむじ風湧き立ち
手招くように
導くように明日へと

いつかまた逢える日が来た時
君に恥じない日々送ることを
誓おう青空に
愛されたい感触が素肌と心に
今も消えずにあるから







Shogo Hamada
ある晴れた夏の日の午後


🌱