ブログネタ:学校行事で好きだったもの 参加中パラパラと雨の降る夕暮れ時、僕は人込みに紛れながら
地元の駅の改札を出ようとした。
その時、ある一人の女に声を掛けられた。
『PASMOをチャージして下さい』
機械的なその一言で僕の行方は遮られた。
そして後ろのおっさん達も僕に行方を遮られる。
僕はおっさんの流れに逆らい、産卵時の鮭のようにPASMOをチャージしに向かった。
サーモン。
そんな時、彼と再開した。
彼と最後に会ったのは小学校の卒業式以来。
当時の彼は襟の伸び切った、
沢山のシミが付いたグンゼのようなTシャツを
いつも着用していた。
偶然にも彼は清水という苗字だった。
シミにもシミーズにもかかっているその名前は、
どこか神様の悪戯にさえ感じる。
そしてズボンはゴム製の霜降りジーパンがトレードマークだった。
朝を繰り返す度に少しずつ増えていくシミーズのシミは当時、
アンパンマンごっこの後押しもあり、一部では
カビルンルンと囁かれていた。
やなせたかしは残酷だ。
そんな彼も現在ではタイトなクラッシュジーンズが股間にねじ込む
イマドキの青年に成長していた。
昔の彼は毎朝ハチミツの匂いが口から漂っていたのだが、今は微かだがハンバーグのような香が漂う。
『バイト先なのだろうか。きっと制服にはデミグラスソースのシミが付いているんだろうな。』
なんて妄想を掻き立てる。
もう当時の彼の面影はなく、僕も最初は誰だか全く気付かなかった。
昔のシミーズはすかいらーくのようにどこかへと消えてしまったんだ。
そんなタイトな彼も昔はだらしなかったようで、よく給食の割烹着を洗い忘れ、罰として給食当番をヘヴィーローテーションさせられてたのを覚えている。
罰とはいえシミ付きグンゼがトレードマーク。
洗ってない割烹着を着用し業務を懸命にまっとうしようとする彼の姿には、
はっきりいってみんな困惑していた。
しかし彼の当番は毎度お馴染みだ。
回をこなす度に着実とスキルが磨かれていた。
いつしかスパゲティのパスタの量、五目あんかけ焼きそばの麺の量といい、
クラスメイト全員分を均等に分け与えることも、
いとも簡単にやり遂げるのであった。
彼はその屋台のおっさんのような汚い風貌から
チャルメラと呼ばれた。
パンを乗せる為にトングを握る彼の姿は、早朝の寒空の下アルミ缶を拾い上げる鉄拳の平八に似た地元の土手のおじさんを思い起こさせる。
でも実はそんな彼、今不動産の営業らしい。
鉄拳じゃなく宅建だ。
僕は今でもたまに、炊きたての炊飯器のフタを開け、吹き出た
蒸気のオナラのような香りを嗅ぐと、彼の霜降りジーパンを思い出す。
昔の僕も、霜降り肉に有り付けない今の僕を見たらエレベータ
ーの中でこっそりカメハメ波の練習をする事も辞めていただろう。
これでまた、霜降りを履かない子どもと霜降りを食べられない
大人が増えそうだ。
そんなわけで
僕はやっぱり好きな行事は給食の時間
