【世界一のスパコン「富岳」「2位じゃダメなんですか」】に対する科学者の答え
理化学研究所(理研)が、2021年 3月に共用を開始したスーパーコンピュータ「富岳」は、世界のスーパーコンピュータにおいて、産業利用など実際に用いられる演算の処理能力を測る「HPCG」など2部門で7期連続の世界1位を獲得しています。
2009年の民主党政権での「事業仕分け」とともに記憶している人は多いはずです。
「2位じゃダメなんでしょうか」
これは、15年前、参院議員の蓮舫氏が放った言葉です。
この事業仕分では、自民党政権時代の「予算のムダ」を洗い出す会議で、やり玉に挙がっていたのが世界一の性能を目指すスーパーコンピューター(スパコン)「京」の開発計画でした。
「なぜ1位なんでしょうか?」と繰り返し問いただされ、官僚と研究者は迷走気味にこう答えたのでした。
「世界一になることで国民に夢を」
しかし計画は「凍結」されることになったのでした。
当時、京には1200億円もの国家予算が投じられ、理化学研究所(理研)と富士通が世界一を目指して共同開発を進めていた事業が凍結されたのでした。
当時は政権交代から2か月ほどで、事業仕分けは「税金の無駄遣い」の根絶で17兆円もの財源を生み出すことを公約に掲げた民主党の「政治ショー」という側面もあり凍結ありきの出来レースでした。
仕分けから2年後「ポスト京」となる「富岳」開発が始まりました。
京の後継機として理研と富士通が開発した富岳は2020年、計算速度世界1位を獲得。他の指標でも1位となり4冠に輝いたのでした。
その中でも、富岳で作成した新型コロナウイルスの飛沫飛散シミュレーションが日本国内の感染防止に大きく貢献しました。富岳の性能があってこそ出来たものです。
コロナ禍が始まった2020年春からの1年半で出した様々なシミュレーションをもし京を使えば10年かかったはずだ。と科学者は語っています。
高い 汎用 性と計算速度、そこから生まれる社会への貢献。
「富岳が蓮舫さんの問いに対する我々の答えなんです。」