【終演報告】

音楽劇「人魚の夏」無事終演いたしました!
スズちゃんとの旅がひとつの終結を迎えました。

オーディションの日、私が読んだのは春さんの台詞でした。
私自身、親のような立場の役をいただくことが多く、春さんかぁ、と特に疑問を抱くこともなくオーディションを終えたのですが、蓋を開けてみたらスズちゃんがいて、とてもびっくりしたのを覚えています。

小学五年生!!しかも、演出がついてからより如実になりましたが、スズちゃんはクラスのマドンナと呼んで差し支えないアイドル的存在です。
本格的に子どものお芝居をやるのは初めてだ、人は何をもって可愛くなるんだっけ、大丈夫かな、と思いながら始まった稽古でしたが、カンパニーの皆様はみんな優しく、あたたかい現場で伸び伸びと過ごすうちに、心の緊張もほどけていきました。
舞台上の帆夏スズを可愛くしてくれたのは稽古場の皆様と客席の皆様、スズちゃんのパワーです。ありがとうございました。
クラスのマドンナなんて初めてだったけど、楽しかった!

「あなたはスズちゃんにピッタリだね」と、配役の頃から千秋楽まで色んな方にお声がけいただいてはいたのですが、私がスズちゃんを理解するのには時間がかかったように思います。
スズちゃんを、芯の強さを持つキラキラした子だと感じていただけに、その素敵さが自分の中にあるのかしらと思っていたのです。
そして同時に、似合うと言ってくださった方の気持ちに応えられる、素敵なスズちゃんとなって舞台に立ちたい、とも思いました。

スズちゃんには素敵なところが沢山あります。
ピアノが上手で伴奏も弾けるけど、ちーくんに伴奏を譲ったところ。
はっちと喧嘩してしまって絶交状態にあっても、「間違ったことはしてない」と自分で思えているところ。
誰に対しても、自分の気持ちを言葉で伝える力を持っているところ。
それこそ、怒ったはっちにも、声を荒らげた福本くんにもです。

たぶん彼女は大人びていて、色んな局面で周りの空気を読み、多くを譲ることができる子なのでしょう。
それでも台詞を読み込んでいくと、彼女は自分の中に正しさの軸をしっかり持っている人で、それを相手によって変えることのない人なんだな、ということが伺えて、私はそこが好きでした。

仲良くなると文句とかも言うところや、ラブストーリーに大はしゃぎするところは可愛かったですね。
夏休みの宿題にぶーぶー言ってるレオに対する「レオうるさい😠」ただの文句でしかなくてめっちゃ可愛いと思います。
assemble(アッセンブル)は言えるのに英語の宿題が全然進んでなさそうな、たにりょうさん演じるレオもすごく可愛い。
新学期の頃の距離感だったら絶対レオにあの言い方はできないでしょうし、仲良くなってて可愛い〜!と思いながら演じました。
4人でいるときの空気感に対して甘えている感じが見られて、個人的な推しシーンです。


閑話休題。
自分に向けられている眼差しや、あるいは感情そのものを受け止めることって、とても難しいことだと思います。私は少し不得手です。
周りが私のことを素敵に思ってくださるほど、素敵な自分でいられるかしら、期待に添えるかしら、と私はドキドキしてしまう。本当はそんなに肩肘張るようなものではないと頭では知りながらも、緊張してしまう傾向があるのです。

でも、スズちゃんを通して見たクラスはとても愛に溢れていて、スズちゃん自身にも、その暖かい愛情をそのまま受け止める、器とでもいいましょうか、懐の深さを感じていました。
彼女には、確立された自己肯定感があります。
ありのままでいる自分を、スズちゃんはしっかり自分で肯定できる子です。
格好良いし、大人びているし、素敵なことです。

スズちゃんは「はっちははっち、私は私でそれぞれ生きていこう」という決断が既にできる精神年齢で、それを選んでもおかしくなかったと思うのですが、できるからこそ、そうしなかったことがより一層キラキラして見える気がしています。

大人になれば、多くの人は自分の軸がハッキリして、すれ違ってしまった人とは別れ、合う人を探しつつも、おのず一人で生きていく力を持つようになります。
が、割り切ってお別れできるほど大人でもない小学五年生というお年頃に、ケンカした大事な友達と仲直りできたことは、スズちゃんにとっても、はっちにとっても幸せなことだったと思います。
私たちも見ていない初稿では、はっちとの仲直りシーンはなかったと風の噂でお聞きしましたが、あの場面があって嬉しかったなぁ。

思い出は尽きませんが、スズちゃんについての色んな気持ちを存分に書かせていただき、この文章はこれにて結ばせていただきます。

あらためて、「人魚の夏」を見に来てくださった全ての方に、そしてお心を寄せてくださった皆様に心から御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

スズちゃん、大好きよ!

音楽劇「人魚の夏」
teamハーモニー 鈴原琴音役  飯野帆夏